あなたは「株式投資はギャンブルではない!」と自信をもって断言できますか?
ちまたでは『貯蓄から投資へ』という言葉がでていますが、それ以前に『投資』という言葉がはっきり定義できていないとは思いませんか?
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この記事(「金融教育を国家戦略として推進」と金融庁が提言。全世代の個人投資家が対象の壮大なプランでは一体誰が教えるの? 人材不足が大きな懸念)のなかで、
- 「貯蓄から投機へ」「貯蓄からギャンブルへ」に陥りがちな個人投資家
という文言があり、とてもよいフレーズだと思ったのでちょっと考察していきたいと思います。
まず、この文言に対しては「ごもっとも!」というのが第一印象です。
とくに、投資に慣れていない個人投資家の多くは『ギャンブル的な投資』にひかれ、実際にそれをしている人が多くいるように感じています。
しかし、これを考えるうえでまず重要なことは、
- 投資とギャンブル(投機)って何が違うんだっけ?
ということです。
継続することで、減っていくか?増えていくか?
この点についての違いをあらわすと、
- ギャンブルとは、お金が増えたり減ったりしながらも、継続することでお金が減っていく行為
- 投資とは、お金が増えたり減ったりしながらも、継続することでお金が増えていくことが期待できる行為
となり、この区別化は多くの人に同意いただけることでしょう。
具体例をあげましょう。
ギャンブルってなんだっけ?
ギャンブルにも様々ありますが、多くのギャンブルで共通する点としては
- 胴元がいて、期待リターンがマイナスになる行為
があり、例えば
- パチンコ
- 競馬
- 宝くじ
- カジノのゲーム各種
などで、これに異論はないでしょう。
投資ってなんだっけ?
反対に投資は、
- 株式投資
- 債券投資
などが代表的で、
- 過去を見ている限り右肩上がりに資産が増えていく行為
が、一般的には当てはまります。
とはいえ、よくよく考えてみると、
- 株式投資や債券投資にも胴元(証券会社)がいる
- インデックス投資においても胴元(運用会社など)がいる
という事実があり、
- 『胴元にお金(手数料)を渡している行為』に関しては変わりない
ことも分かります。
よって、
- 株式投資や債券投資であったとしても、期待リターン以上に手数料を支払っている場合は、ギャンブルになる
- デイトレードのように、頻繁に取り引きすればするほどギャンブルに近づく
とも言えるのではないでしょうか?
そして、ここで重要なポイントとなってくるのが「期待リターンって何?」ということです。
期待リターンって…?
一般的には、
- 株式投資における期待リターンは5~7%
と言われていることが多く、私もそのあたりだと考えています。
この期待リターンが正しければ、
- 胴元への支払いが、賭けた金額の10%を超えるような株式投資であれば、それはギャンブルである
となります。
しかし、この期待リターンはあくまでも『過去のリターンを参考にしたモノ』でしかなく、この期待リターンがこれからも続く保証はありません。
そして、『投資とは、右肩上がりに資産が増えていく行為』と定義するのであれば、
- 期待リターンが分からない投資(仮)において、『胴元に賭けた金額の○%以上の手数料が取られたらギャンブルになる』の『○%』を定義することが困難である
ということになります。
具体的には、
- 将来のリターンが2%であれば、胴元に元本の3%を支払っている行為はギャンブルといえる
- 将来のリターンが5%であれば、胴元に元本の3%を支払っている行為は投資といえる
ということになります。
つまり、
- 将来のリターンが不明である以上、ギャンブルなのか投資なのかを判断することが難しい
ということです。
これは、見かたを変えると、
- 『胴元への支払い』が増えれば増えるほど、ギャンブルに近づいていく
とも言えます。
これを株式投資にあてはめた場合、『胴元への支払い』は『売買手数料』や『信託報酬』にあたりますので、
- 繰り返し取引をすることで『売買手数料』が積みあがっていけば、ギャンブルになる可能性が高くなっていく
- 投資先の投資信託の『信託報酬』が高ければ高いほど、ギャンブルになる可能性が高くなっていく
ことになります。
よって、期待リターンが不明である以上「株式投資はギャンブルではない!」と断定することはできませんが、
- 『余計な売買をしない』『低い信託報酬の商品を選ぶ』ことによって、お金を増やすことができる『投資』に近づくことができる
というわけです。
さて、最後に「それ以前に『株式投資』って何でお金が増える前提なんだっけ?」ってところをおさらいしましょう。
「株式投資はギャンブルではない!!」
株式投資は、
- 企業にお金を渡すことで、お金に『お金を増やそうと働いてくれる労働力』が働くようになる
- 『労働』によってお金が減ることもあるが、多くの場合では増えていくことが期待できる
といった類のモノです。
しかし、『お金が増える』といっても、『投資したお金が、増えたうえで投資家のもとに戻ってくる』とは限らず、
- 投資したお金が、投資先企業の中だけで増えていく
ということもありえます。
というのも、株式投資は
- 投資先の企業が大きくなっていっても、株主への配当が増えていくとは限らない
- 投資先の企業が大きくなっていっても、株価が上がるとは限らない
という性質があるためです。
よって、数年単位では
- 企業は成長しているくせに、まったく株主が儲からない
なんてことはザラにあります。
しかし、
- 企業が大きくなり続けているのにも関わらず、いつまでたっても株主への還元がないというケースはごくマレ
です。
よって、
- 株式投資は、短期的にはギャンブル、長期的には投資
ということになるわけです。
これが理解できていれば、「株式投資はギャンブルではない!」と言えるのではないでしょうか。
また、『株式投資』と『ギャンブル』の違いを明確にでき、『投資もどき』に手を出さずに済むのではないでしょうか。
では、仮想通貨や金への投資(仮)はどうなのでしょうか?
説明するまでもなく、お分かりですよね。
『貯蓄から投資へ』を確実に実行するためには、まず『投資とはなんぞや?』を明確にする必要があると思い、ツラツラと書かせてもらいました。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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