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【投資で成功するための心理学】ダニエル・カーネマン心理と経済を語る【要約】

更新日:2021/4/23

 

本記事では、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの受賞記念講演などを記した著書『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』の一部を、要約して紹介していきます。

 

筆者(ひょしおんぬ)は、

から、「企業分析を使った投資で、インデックスを超えるリターンを安定して得ることは不可能だ」と考え、インデックス投資を採用しています。

 

しかし、「『心理学を使った投資」であれば、もしかしたらチャンスがあるかも?」とも思っています。

 

また、シンプルな『ひたすらインデックス投資を続ける』という投資ですら、実践できない(途中で売ってしまう)人が多くいるという問題もあり、「その理由は何なのだろうか?」と、投資家の心理を理解したいとも思っています。

 

よって、その疑問に答えてくれるであろう、心理学を使った理論によってノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・カーネマンの著書を見ていきたいと思います。

 

<目次>

  

足し算するべきときに平均値を求めてしまう

まずは、有名な

『実験の参加者は2セットの食器セットを見せられ、それに値段をつける』

という実験を紹介します。

 

1つ目の食器セットは『欠損のない食器24点のセット』で、

2つ目の食器セットは『1つ目の食器24点セット+欠損のないカップ+欠損のあるカップのセット』です。

 

2つ目の食器セットは、一部壊れているとはいえ、1つ目の食器セットよりも多くの食器が含まれているため、『2つ目の食器セットの方が値段が高い』のは一目瞭然で、

実際に、2つの食器セットの両方を見せられたグループは、2つ目の食器セットの方を高く見積もりました。

 

しかし、

  • 1つ目の食器セットだけを見るグループ
  • 2つ目の食器セットだけを見るグループ

を分けて見積もってもらうと、1つ目の食器セットの方が50%も高い値段が付けられました。

 

これはすなわち、『価値の大きなモノに高い値段がつく』 という当たり前のことが成立していない、ということを指しており、『人はカンタンに合理的でない判断をしてしまう』と言えます。

 

ダニエル・カーネマンは、この理由として

「価値をはかるために足し算しなければならないケースでも、平均を求めてしまう」

という『思考のエラー』を紹介しています。

 

2つ目の食器セットには壊れた食器が含まれているため、食器セット全体の平均点を落としてしまったわけです。

 

これを投資に例えるのであれば、

  • 少しでも問題のある銘柄は、本来の価値以上に安く見積もってしまう
  • まったく問題のない銘柄は、大した価値がなくても高く見積もってしまう

といったことになります。

 

よって、これを理解していれば、『価値以上に株価が割安な銘柄をさがす』という目的を達成するための手助けとなりそうです。

 

さて、続いては『褒めて育てるか、怒って育てるか』という悩ましい選択をするときに起こすエラーについて紹介していきます。

 

怒ることで次回の成績が向上する理由は…

 ダニエル・カーネマンが、航空学校の教官に『技術の習得を促すには、罰するよりも褒めることの方が効果的である』と教えている際のエピソードを紹介します。

 

教官たちに『罰するよりも褒めることの方が効果的である』とのスピーチをすると、

「これまで私は何度となく、難度のたかい曲芸飛行を見事にやり遂げた飛行訓練生を褒めていましが、もう一度同じことをやらせてみると、2度めは概して初回よりも出来がよくない。

一方で、出来の悪い時に叱り飛ばすと、次はうまくやることが多いんです。

ですから、褒めることは効果があって、罰するのには効果がないなどと言わないで頂きたい。

実際には逆であることが多いのですから。」

という反論を受けました。

 

この教官の言う

  • 成功した次はダメになる
  • 失敗した次はうまくいく

というのは正しい結果ではあるものの、この結果となる原因は『褒めた』『叱った』という教官の行動とは全く関係なく、「『平均回帰』によってそう見えているだけだ」と、ダニエル・カーネマンは指摘します。

 

具体的に解説していくと、

『褒められるほど成功した』ということは、『能力以上の成果を出した』とも言え、

『叱られるほど失敗した』ということは、『能力以下の成果しか出せなかった』と言えます。

 

そうして、2度目のトライに能力相応の結果を出せば、

『1回目で褒められた群の2回目の成績は、1回目より劣る』

『1回目で叱られた群の2回目の成績は、1回目より優れる』

となるわけで、教官はそれを『叱れば伸びるし、褒めれば落ちる』と勘違いしていたわけです。

 

これをダーツで例えれば、

  • 1投目がど真ん中を射止めたとき、2投目は1投目よりイマイチな成績となる可能性が高い
  • 1投目が的にすら届かなかったとき、2投目は1投目よりマシな成績となる可能性が高い

となり、この結果が当たり前であることは直感的にも理解できるかと思います。

 

世の中には、実力とは関係なくランダムな結果がもたらされる現象が多くあります。

ランダムであるがゆえに、優秀な成績をおさめられるときと、そうでない時があるわけですが、何度も繰り返しているうちに平均回帰していきます。

 

株価の値動きもランダムに動くものの一つだと言えます。

 

よって、

  • ○○をやったことで上手くいったから、これからも○○で上手くいくだろう
  • △△をやって失敗してしまったから、もう△△はやめよう

と、少ないトライ回数で判断するべきではないと言えそうです。

 

さて、続いても投資のリターンに直結するであろう『保有効果』について紹介していきます。

 

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保有効果に騙されるな

ダニエル・カーネマンは、以下のようなエピソードを紹介しています。

 

ある人が、1本の古いワインを1万5千円で手に入れました。

その人に尋ねると、「このワインは2万円もらっても手放したくない」と言っていました。

しかし、反対に「このワインの瓶が壊れたら、1万円を払っても取り換えるのは嫌だ」とも言っています。

 

これはおかしな話で、

「2万円もらっても手放したくない」=「ワインの値段を2万円以上だと見積もっている」

わけですが、

「1万円でも取り換えたくない」=「ワインの価値を1万円以下だと見積もっている」

ともなってしまいます。

 

これが保有効果によるもので、

『すでに所有しているものに対して高い価値を感じ、手放すことに抵抗を感じる』

という心理に惑わされているわけです。

 

これは、もろに株式投資にも影響を与え、

  • 過去に買った銘柄を必要以上に大切にしてしまう(魅力は薄れているはずなのに売れない)

といったことは、保有効果によって起きていると言えそうです。

 

積立投資を続けているインデックス投資家であったとしても、

  • いまはA投信だけを積立ているが、昔かったB投信を売らずにもっている

というのは、もろに保有効果を受けた結果かもしれません。

 

「税金上売らない方が有利だから」と考えているかもしれませんが、それは本当ですか?

売った場合、税金がいくらかかり、将来のリターンにどれ程の影響を及ぼすか計算しましたか?

思い切って自分のお気に入りの銘柄に乗り換えた場合、期待リターンがどう変化するか計算しましたか?

 

計算した結果は人それぞれかと思いますが、『インデックス投資とは一生涯の付き合いとなる』と考えると、多くのケースでは『乗り換えるべき』という結論になるのではないでしょうか。

 

個別株投資家であろうと、インデックス投資家であろうと、定期的に「保有効果に囚われていないか?」と自分に問いかけたほうが良さそうです。

 

つづいては、誰でも単語だけなら一度くらいは聞いたことがありそうな『多様性バイアス』についてです。

 

多様性バイアスによって、適切な選択をできなくなる…?

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ダニエル・カーネマンは、次のような実験結果を紹介しています。

 

6種類のスナック菓子を準備し、3コマある授業の際に1個ずつ食べるよう、学生にスナック菓子を選択させた。

グループAは、各授業の前に1つずつスナック菓子を選ばせ、

グループBは、最初の授業の前に3つのスナックを同時に選ばせた。

 

結果、グループAは、毎回同じスナック菓子を選ぶ傾向にあり、

グループBは、違う種類のスナック菓子を選ぶ傾向にあった。

 

これは『同時に複数の選択をする場合には、バラエティを求めすぎてしまう』という『多様性バイアス』に学生が陥っていると言えます。

 

グループAは、『いま食べたいスナック菓子を選んだ』わけなので、『正しい選択をした』のは言うまでもありませんが、

それに対してグループBは、『将来食べたくなるスナック菓子を予想した』わけですが、グループA以上に多様性を求めた選択をしたということは、『必要以上にバラエティに富んだ選択をしてしまった』=『誤った選択をした』と言えます。

 

これは投資であれば、ボーナスなどの『まとまったお金が手に入ったタイミング』がいい例になります。

 

興味のある銘柄が3つあり、

  • A株:95点
  • B株:80点
  • C株:75点

と評価していた場合、月々の給料からその銘柄を選ぶときには、『毎月A株を購入する』という可能性が高くなりますが、

ボーナスによって3銘柄同時に入手できるだけのお金が手に入ったときには、『A株、B株、C株の全てを同時に買う』という選択をしがちとなります。

 

これは積立インデックス投資にも言えることで、

『毎月A投信だけ積立している』という人であったとしても、ボーナスが支給されたタイミングでは『なんとなく興味のあったB投信も買ってみた』という選択をした経験のある人は多いのではないでしょうか?

 

そうして、『多様性バイアスの罠』によってさほど興味のない銘柄を買ってしまい、『保有効果』によって本来の価値以上にその銘柄のことを大切に思う、という選択ミスを続けてしまう恐れがあります。

  

これら深層心理をしっかりと理解し、「自分は○○という心理によって、誤った選択をしようとしていないか?」と自分に問いかけることが、投資によるリターンを上げる(下げない)方法だと言えそうです。

 

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まとめ:人の犯す選択ミスを回避しよう

といった感じで、『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』の内容の一部から『人間のおかしがちな選択ミス』を紹介させてもらいました。

 

とはいえ、『人は常に間違いをおかす、愚かな生き物』 と言っているわけではありませんし、『直感を信じるな』と言っているわけでもありません。

 

人間の直感は、ほとんどのケースで(大した労力・時間をかけずとも)正しい選択ができるものの、省エネで答えを出すことに重点を置いたがゆえに、ミスを犯すケースもでてきてしまいます。

 

直感のすべてを疑って生きていては、何をするのにも時間がかかってしまい、多くのチャンスを逃すことにもなりかねません。

よって、『よく間違いを犯しがちなケース』を理解し、重要な決断をするときにだけ、「直感で決めても問題ないのだろうか?」といったん立ち止まるようにした方が良さそうです。

 

そうすることで、『投資』のような人生を左右するような決断の際に、間違った選択を回避できるようになります。

 

この記事を読んだことで、直感にまかせて誤った選択をしてしまい、大きなダメージを負う人が減ってくれることを願います。

 

 

 

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