最終更新日:2020/9/18
中国には1億7000万人の個人投資家がいると言われており、その個人投資家がギャンブル的(投機的)な取引をすることから、『中国株はボラティリティ(株価の変動)が大きくて危険』と言われています。
しかし、この『危険』と言われている傾向は、アクティブ投資には有利に働いているかもしれません。
というわけで、本記事では中国市場の現状を整理し、『インデックス以上のリターンを得るためのヒント』を考察していきます。
<目次>
中国でも投資信託に人気が集中
具体的には、2020年1月~6月期には
- 直接買い入れ:3400億元(約5.3兆円)
- 投資信託購入:4877億元(約7.6兆円)
となっており、投資信託の購入額が大きくリードしています。
関連記事(外部):中国株の個人投資家1億7000万人に変化-投信業界の「黄金期」到来か
その人気の背景には『投資信託のリターンが高い』という事実があります。
中国で投資信託に人気が集まっている理由
中国株の代表的指数のひとつである『CSI300(愛称:上場パンダ)』とのリターンを比較すると、以下の通りとなっています。
- 投資信託の平均リターン:17.5%
- パンダの平均リターン : 4.8%
このリターンの結果を、『2015年に100万円投資していたケース』で考えると、資産は以下のように推移していたことになります。
2020年時点の具体的な資産額は
- 投資信託:229万円
- パンダ :118万円
と、圧倒的な差がついています。
そりゃー投資信託に人気がでるわけだ。
しかし、(特にインデックス投資をしている人は)
「あれ?投資信託の方がインデックス(CSI300)を大きく超えるのっておかしくない?」
と、疑問に思うかと思います。
が、中国市場の場合はそうではないようです。
中国市場は非効率?
当たり前ですが、『インデックスファンドはインデックスを少し下回る成績』となるわけなので、『投資信託の方がインデックスより成績が良い』ということは『アクティブファンドがインデックスよりも好成績を収めている』となります。
昨今では『アクティブファンドの多くはインデックスに勝てない』と広く知れ渡っていますが、これは『市場(の株価)が効率的だから(効率的市場仮説)』であるとの前提に基づいたものです。
これは、
『優秀な多くの投資家が企業分析をした上で株の売買をしているため、株価は常に適正な値(価値と価格が一致している)を保ち続けている』
という考え方によるもので、これによって
- 企業の価値よりも株価の低い銘柄を買う
- 企業の価値よりも株価が高くなったら売る
という、『株でもうける為の取り引きが通用しない(割安株も割高株も存在しないため)』という状態になります。
その結果、『頑張って取引をしたところで、インデックス以上のリターンを得ることが難しい』と言われています。
(実際に最も効率的ともいえるアメリカ市場では、インデックス以上のリターンを出せる投資信託はわずかです)
『市場が効率的だからインデックス以上のリターンは得られない』ということは、目線をかえると『市場が非効率であればインデックス以上のリターンは得られる』ともなります。
よって、投資信託のリターンがインデックスを超えている中国市場は、『非効率』と言えるのかもしれません。
というわけで『非効率な市場』について、少し補足説明します。
『市場が非効率』とは何ぞや?
今でこそ『効率的市場の代表格』と考えられ、インデックスファンドが有利となっているアメリカ市場ですが、1960年代まではアクティブファンドが有利な時代でした。
それは、
- 1960年代は個人投資家がマーケットの90%を占めていた。
- 企業が発信する情報は万人に同時に届けられていなかった。
といった理由からです。
つまり、
- 企業の情報を持っていない個人投資家が多くいるため、『企業の価値=株価』となっておらず、プロ投資家であれば割安株(割高株)を見つけだすことができた。
というわけです。
そして、中国市場(特にパンダ)は
- 個人投資家の割合が大きい(80%程度と言われる)
- 企業が発信する情報が、万人に同時に届けられているかに疑問がある
といったことから、『非効率な市場』と言えるわけです。
まとめ:非効率な中国株はアクティブ投資が有効
ここまで記事にさせてもらった通り、『中国市場での投資信託のリターン』がインデックス以上に高いリターンを出していることから、投資信託に人気が集まっています。
昨今では、「インデックス投資最強!」「アクティブ投資とかwwww」という声が聞こえてくることもありますが、インデックス投資がどこでも通用するわけではないことを理解しておく必要がありそうです。
よって『インデックス以上の大きなリターンを目指す!』と考えている投資家は、
- 中国市場のような『非効率な市場』を選ぶことで目標(大きなリターン)を達成しやすくなる
と言えそうです。
なお、『インデックス投資が当たり前、アクティブ投資は異端』のレベルにまでいってしまうと、『非効率な市場』となってしまい、アクティブ投資が有利になると考えられます。
参考記事:インデックス投資がブームになることによる問題を検証
アクティブ投資をする力の無い筆者(ひょしおんぬ)は
「世界中の市場が効率的であり続けてくれぇ…」
と願うばかりですw
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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