最終更新日:2020/6/23
最近では話題となるコトも少なくなってきた仮想通貨ですが、値動きの激しさが落ち着いたわけでなく、新型コロナウィルスの影響で、株などの資産と同様に激しい値動きを見せました。
というわけで、仮想通貨がこれからどうなっているのか考察してみたいと思います。
<目次>
仮想通貨の今後とチューリップバブル
数年前と比較すると考えられないレベルで高騰している仮想通貨ですが、この状況は「バブル」と言えるのでしょうか。
まずは過去実際にあったバブルと比較して、現時点では「バブル」なのか「適正価格で取引されている」のか考察してみたいと思います。
比較対象は記録に残っている最初のバブル「チューリップバブル」です。
チューリップバブルとは
「チューリップバブル」とは、17世紀初頭にオランダで発生したチューリップの価格が暴騰、暴落した期間を言います。
当時ヨーロッパには存在しなかったチューリップがオスマン帝国よりもたらされたところ、オランダで人気を集め贅沢品として1636年から価格高騰を続けました。
時には熟練工の年収の10倍以上(今でいう1億円ほどでしょうか)の値を付けながらも、急に買い手がつかなくなり1637年にチューリップバブルは崩壊しました。
そしてバブル崩壊後に商人たちは政府に助けを求めましたが、裁判官は一連のバブルを「ギャンブル」と解釈し「法による強制はできない」と判断しています。
このチューリップバブルの際には現在でいう「先物取引」も行われており、花を見てもいない球根が高値で先物取引されていたコトからも、熱狂ぶりがうかがえます。
なお、チューリップバブル崩壊は「より愚かな投資家」が枯渇したために発生しました。
チューリップバブル崩壊の理由
基本的に投資(投機)とは、
「どんなに高値で買おうとも、より高値で買ってくれる投資家がいれば儲かる」
ものです。
つまり、
- 1ドル札を300円で買った
という、馬鹿な行動をしたとしても
- 1ドル札を500円で買う
という、もっと馬鹿な投資家が現れれば何の問題もなく、さらに
- 1ドルを1000円で買う
という、さらに馬鹿な投資家が現れれば、500円で買った馬鹿も大儲けできます。
これにって「1ドル札=1000円という本来の価値を大きく超える値段」になり、これが”バブル”となります。
しかし、世の中にいる馬鹿な投資家の数には限りがあるため、いつかは「より高値で買ってくれる馬鹿な投資家」は現れなくなります。
そこまで到達して、ようやく人々は「こんな高値で買い手が現れるはずがない」と気付き、バブルが崩壊することになります。
なお、このバブルが最高潮となった際に手を出す投資家は”今まで投資に興味の無かった普通の人”であるのが常です。
バブルで最も痛い目を見るのは普通の人
投資や投機は、通常プロの投資家の間ではじまり、そこで人気が出れば一般投資家にも広がっていき、さらに人気が過熱すれば、今まで投資に興味もなかったような”普通の人”の間にも広がっていきます。
そして、当然ながら手をだすのが遅ければ遅い程に高値つかみとなり、バブル崩壊によるダメージは大きくなります。
チューリップバブルの際には
「貴族も、平民も、農民も、メイドもチューリップ投資に手を出した」
と言われており、チューリップの価値を理解できていないであろう人々が投機に手をだしており、その結果として多くの”普通の人”が破産することとなりました。
この辺りは、何となく”仮想通貨”と似ているように思えて仕方ありません。
仮想通貨とチューリップバブルの共通点
仮想通貨の高騰をバブルと断定することはできませんが、チューリップバブルと類似している点がいくつかありますので、以下に列挙します。
- 過去より存在しているものであったにも関わらず価格が高騰したこと
- 商品の価値についてよく理解できていない投資家が大量に売買していること
- 希少価値があるように見えて実際はないこと
- 実生活に役立つ商品ではないこと
ひとつずつ見ていきます。
以前より存在しているものであったにも関わらず価格が高騰したこと
仮想通貨もチューリップも、新たに開発されたモノではないのにも関わらず、人気が出たと同時に急激に価格が高騰しています。
この「急激に」というのは「価値あるものだと理解した人が増えた」からではなく、「人気があるから」「価格が上昇しているから」という理由で購入する人が増えたことが原因だと言えます。
商品の価値についてよく理解できていない投資家が大量に売買していること
「仮想通貨」はその名の通り「通貨」として開発されたものです。
当初は
- 銀行やカード会社を介さずにユーザ間でお金のやり取りが可能
- ブロックチェーン技術による安全性
- デジタル化による決済の高速化
などなどがメリットとして挙げられていますが、その内容を詳細に理解できて売買している投資家はどの程度いるのでしょうか?
「安全性」が強調されている仮想通貨ですが取引所からの盗難事件が多発していますし、「決済の高速化」についても現在では決済まで数分から数時間を要すケースが多くあります。
そういった事実や商品の価値をよく理解せずに売買している投資家はただ「投機」をしているだけで、「投機」の対象となったことで価格が高騰したモノに将来性はありません。
チューリップも結局は「ただの花」となりました。
実生活に役立つ商品ではないこと
仮想通貨もチューリップも実生活で活用するものではありません。
特に仮想通貨は「通貨」として10年以上前に誕生し、メディア等でも大きく取り扱われたのにも関わらず、未だに通貨に役割はほとんど果たせていません。
(支払いに使用できる店舗は限られています)
この状態では仮想通貨は「ただのデジタルデータ」と言って過言ではありません。
何の役にも立たないただのデジタルデータに高値がついて売買される状況が「バブルではない」と言えるのでしょうか。
希少価値があるように見えて実際はないこと
ビットコインは総発行枚数に上限をかけることで「希少性」を出し、価値を保てるように工夫されています。
ダイヤモンドや金(ゴールド)等々と同じく、希少価値があれば実生活に役立たないものであっても価格が上昇します。
しかし、仮想通貨は現在1,000種類以上が存在していると言われています。
世の中に「〇〇通貨」と言われるものが乱立している状態で、仮想通貨に希少価値があると言えるのでしょうか。
仮想通貨の今後は
「通貨」とは「皆が通貨だと認めれば(信用を得られれば)通貨となる」性質のものです。
しかし現時点では「仮想通貨」を「通貨」として見ている人は多くないと考えられます。
もしも「皆が通貨だと認めている」のであれば仮想通貨の価格がこれほど激しく変動するはずがありません。
「実生活に使えず」「希少価値もなく」「よく分からない」という仮想通貨の価格が激しく変動する理由は、「投機の対象となっている」と言う他ありません。
また仮想通貨は「株」や「債券」と違い「投資した資金を事業活動によって増加させる仕組み」もありません。
※詳しくは以下記事をご参照ください。
ギャンブラーと投資家
もし、そんな仮想通貨に「投資」しているつもりなのであれば、即刻止めるべきです。
もしも仮想通貨の取引を行いたいのであれば、それは「投機」だとしっかりと理解したうえで行う必要があります。
そして「投機」はただのギャンブルです。
将来に向けての資産形成を真面目に考えているのであれば、仮想通貨に手を出すべきではありません。
ひょしおんぬは「ギャンブラー」ではなく「投資家」でありたいと考えているので、仮想通貨には手をださずに、タンタンと投資信託を積み増ししていくのみです。
読者も「投資家」でありたいと思うのであれば、資金の投入先を冷静に判断されることをお勧めします。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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それではまた。