「アメリカの労働人口の増加がほぼゼロになるぞ」
とFRBが言っておりました。
The Fed - Labor force growth, breakeven employment, and potential GDP growth
労働力人口とは、
- 16歳以上で就業中または積極的に求職活動を行っている人々
を指しており、1960年以降、アメリカでは毎年平均約1.4%ずつ増えてきましたが、2026年にはそれがゼロ近辺になると予想しています。
労働力人口の過去の推移はこんな感じで、

(灰色:人口増加による寄与。青色:労働参加率による寄与)
これまでは、
- 移民による人口増加
- 女性の社会進出
- ベビーブーム世代の労働参加
によって労働人口が増加してきたわけですが、2026年には、
- 人口増加率の低下
- 移民流入の減少
- 高齢化による退職者増加
によって、労働力人口の増加率がほぼ0%になる可能性があるとしています。
アメリカもついにそのフェーズに。
その労働力人口の増減は国力を表すGPDの成長に大きく影響していますので、そちらも見ていきたいと思います。
潜在GDP成長率の内訳
アメリカの潜在GPD成長率(短期的な景気循環を除いた値)の内訳は、以下のようにされています。

(灰色:生産性向上による寄与。青色:雇用増加による寄与)
それぞれの寄与率は時期によって異なりますが、これまでのアメリカは、労働人口の増加を一つの背景としてGPDを伸ばしてきたわけですが、これがゼロになる2026年は『生産性向上でのみ実質GPDを伸ばすことができる時代になる』とも言えます。
アメリカ経済の強さの一つは『大量の移民受け入れ』にあったわけですが、この予想が現実のものになれば、これまでとは違った世界がやってくるかもしれませんね。
解雇と雇用
さて、『労働力人口が横ばいになる』と聞くと真っ先に思い浮かぶのが、近ごろ聞く機会の多い「アメリカで大型の解雇が多発している」という報道です。
定番どころだと
- Microsoft
- Oracle
- Salesforce
- Shopify
あたりが解雇を発表し、少々ざわついたことが記憶に新しいです。
実際に以下グラフの通り求人数は減少傾向にあり、失業者数は微増となっており、これは「AI要因である」と言われることが多いです。

JOLTS data provides new evidence the job market is softening
もしもこの状況において『アメリカの労働人口が増加傾向にある』という世界線が続いていれば、『失業者増』となることでアメリカ経済にとってマイナスに働いたのでしょう。
しかし、先述した通り『(ちょうどよく)労働人口は増加しない』と予想されているので、雇用(求人)が大きくならないのにも関わらず、失業率悪化にはつながらないと考えることができます。
ラッキーなの?
計算通りなの?
ちなみに、JILPT(労働政策研究・研修機構)によると、日本の労働人口は以下のように(過去のアメリカほどではないものの)増加傾向にあり、
| 年 | 労働力人口(万人) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2020 | 6,902 | -0.14% |
| 2021 | 6,907 | +0.07% |
| 2022 | 6,902 | -0.07% |
| 2023 | 6,925 | +0.33% |
| 2024 | 6,957 | +0.46% |
| 2025 | 7,004 | +0.68% |
2026年に入ってからも、
| 月 | 前年比(%) |
|---|---|
| 1月 | 0.3 |
| 2月 | 0.3 |
| 3月 | 0.3 |
| 4月 | 0.7 |
と、増え続けています。
現時点では日本において『労働力不足』が叫ばれているので、労働力人口の増加は喜ばしいわけですが、この先の世界において『アメリカで起きているように、求人数(必要な労働人口数)が減少する』なんて事態が起きてしまうと、日本経済にとってよろしくない世界がやってくる”かも”しれません。
これは少々不安材料ですね。
にしても、アメリカの
- 労働力がGPDに直結するこれまでの時代においては労働人口の増加に成功
- AIによって労働者の厳選が始まりそうな世界において労働人口が増加しない
という遷移。
ズルくない?
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