
近ごろ「1億円でFIREできるか?」という問いをよく見かけます。
これに対する回答は
「ひとによる」
でしかないのですけども、それでは面白くないのでもうちょっと考えてみることに。
私のケース
まず、私は共無職+小学生の3人家族を持ち、1億円ほどの資産でサイドFIRE(セミリタイア)しました。
これは、
- 物価の安い地方暮らしである
- 太陽光発電による収入がある
- ブログによる収入がある
- 持ち家の住宅ローンが残り1800万円ほどである
といった条件がそろっているからです。
よって、都心暮らしであったり、副(?)収入がなかったり、賃貸暮らしであった場合、サイドFIREしていたかどうかは分かりません。
つまり『私はできた(できると判断した)』でしかなく、他の家庭にとって『1億円』という金額が十分なのかどうかは分かりません。
しかし、少なくとも
「1億円あってもFIREできない」
という言葉には完全に否定的です。
それどころか、
「1000万円でも十分にFIREできる」
と考えています。
FIREとは
今さらですけども、FIREとは『Financial Independence, Retire Early』の略で『金融的に独立し、早期退職すること』を指しています。
まずは、聞く機会の多い(が私は否定的である)「FIREの本質はREでなくFIにある」の言葉を参考にして『FI』に焦点を当ててみましょう。
FIREを目指すためにはまず『FI=金融的独立』を目指すわけですが、18世紀半ばからあった産業革命以前は庶民の多くは自給自足生活をしていたわけなので、多くの人々がFIをしていたことになります。
そもそも、『Financial』という単語が生まれてきたのは1769年ごろであり、その元となった『Finance』が誕生したのは13-14世紀ごろだと言われています(Etymology, Origin & Meaning)ので、
- ホモ・サピエンスが誕生した40万年~25万年前から考えると、人類史の99.8%の期間は全員がFIしていた
と言えるでしょう。
よって、『少なくとも1億円は必要』どころではなく、
- FIするために大金を手に入れる必要はない
と断言することができます。
ただし、お金(≒Financial )が存在していなかったとはいえ、物々交換等による経済が存在していたことを忘れてはいけません。
REって?
というわけで、お金の存在しない時代(物々交換による時代)において、『REしていた』と言えるのか考えていきたいと思います。
直感的には、ホモ・サピエンスは多くの時代において狩猟採集や農耕や牧畜を営むことで生活してきたわけですが、これらによって『REしていない』と考えることができます。
うんうん。
とはいえ、『RE=Retire Early』は『早期退職』と訳されることも多いですが、直訳すると『早く引退する』でしかありません。
しかし『引退』とは、何から引退することを指しているのか意外と難しいですが、
まず思いつくのが『仕事・労働からの引退』です。
仕事とは、デジタル大辞泉によると以下のように定義されています。

『生計を立てる手段』という定義ももちろんありますが、ざっくりと「なにかを作る、成し遂げること」も『仕事』として定義されています。
思ったより定義が広いぞ。
これではさすがに「REしたら何もできない」となってしまうので、『生計を立てる手段からの引退』を仮に採用します。
そして、『生計を立てる』とは、ざっくり『生活を維持すること』と定義されています。
『生活を維持すること』には、
- 収入をえること
- 生活を維持(料理や掃除など)すること
- 生活必需品を手に入れること
- 社会的義務(税金、社会保険料の納付など)を果たすこと
などが含まれ、これらを回避できることがREと言えます。
近世以前のホモ・サピエンスは、『収入を得ること』はしていなかったとはいえ、生活に必要な行為(狩猟採集や料理など)をしていたであろうことから、『REしていないかった』ことになります。
が、
それだと現代で「FIREした!」と言っている人々もREしていないことになってしまいます。
ん~、
ここら辺のモヤモヤを解消するためには、
- REとは、『金銭の入手(ただし不労収入を除く)』や『物々交換するためのモノづくり』から引退すること
と、仮定したいと思います。
どんどん仮定・条件が増えていくぞ。
であれば、『いやいや家事をやっている』としても『REしている』と言うことができ、比較的に多くの人が想像しているであろうFIRE像に近づいた気がしますし、『近世以前のホモ・サピエンスはFIREしていなかった』と言うこともできます。
こんなところでしょうか?
望まない他人との関係を断てること
さて、そうすると、
『自分のために行う狩猟採集や農耕や牧畜』に従事していたとしても、これよって「REしていない」と定義することが難しくなります。
これらは『生きていくために必要な仕事・労働』であるため、『これらに従事ている=REしていない』と言いたくなる気持ちはありますが、そうしてしまうと『生きていくために必要な家事(料理や掃除など)』に従事しているだけで、『REしていない』となってしまいます。
『REした』を『やりたくないコトをせずに済む生活』と定義することも考えましたが、そう定義してしまうと『家事が嫌いな人』はREすることが困難になってしまいます。
難しい。
そうすると、個人的にしっくりくるのは
- RE=望まない他人との関係を断つこと
との定義です。
例えば、
- 収入を得るために組織に所属しなければならない
- フリーランスだが気に入らない人間からの仕事を受けねばならない
- 嫌いなヤツとでも物々交換しなければならない
のであれば、それはREできていないと見なせますし、
- 収入を得るための仕事を、好きな人とだけする
- 自分のためにイヤイヤ家事をする
- 自分のために面倒だけど農耕や牧畜を行う
は『REできている』と見なせます。
しっくりくるかも。
そう考えれば、
- 農耕や牧畜で『自分の生活に必要な食料だけ』は確保できる環境を整える
- 自身で調達が難しいものだけは、少額の金融資産を使って手に入れる
という生活は、『FIRE』に分類されることになります。
そして、この生活をするためには1億円も確保する必要はないので、タイトルにある『1000万円でもFIREできる』を肯定することができます。
これでいこう!
ひとによる
これまでを整理すると、
- FIREしたとて家事のような『生きていくために必要な行為』を完全に排除することは難しいため、『家事の排除』はRE達成には不要であると考えられる
- 経済性のない(他者とのやりとりのない)自分のための農耕や牧畜は家事のカテゴリーに含まれる
- あら不思議、極小の資産でのFIRE達成となる
と言えます。
『農耕や牧畜=家事』に関しては認められない人も多いでしょうが、『手間のかかる家事』『生きていくための家事』と『農耕や牧畜』を明確に線引きするラインを定めるのは難しいです。
とはいえ、
「農耕や牧畜をしていたら、FIREという夢の生活だ台無しだ!」
と批判したくもなるでしょう。
しかし、
- そもそもFIREしている時点で、FIREしないケースに比べて金銭的には貧しい生活が待っている
ことはほぼ間違いありません(単純に労働収入が減るわけなので)
よって、「FIREできるかどうか?」は「仕事を辞めたあとにどの程度の『諦め』を受け入れられるか?」にかかっていると言えます。
そして、この『求めるFIRE後の生活』が人によって異なり、
- 料理や片付けといった家事も含む『すべての仕事』から解放されること
- 家事は自分で行い、一般家庭並みの生活を送れること
- 生活保護レベル(健康で文化的な最低限度)の生活を送れること
- 自分のための農耕や牧畜を受け入れて労働による収入を必要としない生活を送れること
と、グラデーションがあります。
よって、FIREできる金額は、
「ひとによる」
としか言えないのです。
であるわけなので、FIREを志している投資家たちはSNS上に転がっている意見の99.9%を無視し、
- FIRE後にどのような生活を送りたいのか?
- それを達成するためにはどれだけの準備が必要なのか?
を自身で考えなければなりませんね。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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