S&P500の予想PERと実績PERが大きく離れていて愕然とした話。
時間をかけて書いたので、是非とも最後までお付き合いください!!(おかしなことを言っていたらご指摘ください!)
両PERの差
株式の割高感を図る代表的な指数であるPER(株価収益率)には、主に
- 予想PER:利益”予想”から求めるPER
- 実績PER:過去の利益”実績”から求めるPER
の二つが存在しています。(他にも似たようなものは色々ありますけども)
そして、このブログでは実績PERを使うことが多いです(予想PERが使われるケースが多いですが、1880年~のデータがあるサイトが採用していて使いやすし、個人的に”予想”というヤツがあまり好きではないので)

そこで、実績PERを用いた『S&P500のリスクプレミアムがマイナス』という記事を書いたわけですが、
- 実績PERで見るとリスクプレミアムはマイナスだけど、予想PERを使えば(小さいけれど)プラスになる
という状況でもあったため、
「予想PERと実績PERってどれくらい離れているんだろうか?」
と素朴な疑問が浮かびました。
が、調べても出てこないので自分で作ってみることに。
結果はこれ(~4/13)

当然、基本的には実績PERの方が上にあります。
ほとんどのケースにおいて、過去の方が未来よりも利益が小さいからです。
この差が大きいということは『企業の利益の成長率が大きいと予想している』ことを指し、反対にこの差が小さい(や逆転している)ということは『企業の利益の成長率が小さい(マイナス成長する)と予想している』ということを指しています。
言い変えると
- 両PERの差が広がった=未来は、過去よりも大きく成長すると予想している
とも言えます。
そこで、その『差』だけを抽出してみるとこんな感じになります。

うーん?
ここ数か月の差は大きすぎじゃないか?
上昇し続ける利益率
まず、この根拠の一つは、
- 企業の利益率がどんどん上昇しているから
です。

S&P 500 Reporting Highest Net Profit Margin in More Than 15 Years
(例:最右のQ425は、25年第4クォータ)
仮に企業の売上が横ばいであったとしても、企業の利益率が上昇すればEPS(1株当たり純利益)が上昇、PERが下落することになります。
グラフにはない2026年は、
第1四半期から第4四半期までの推定純利益率は、それぞれ
- 第1四半期:13.2%
- 第2四半期:13.8%
- 第3四半期:14.2%
- 第4四半期:14.2%
と、(アナリストらによって2026年2月時点では)予想されていましたので、時とともに予想PERが低くなりやすい環境にあります。
とはいえ、大きな傾向として『予想PERが下がる』ことを理解することはできても、ここ数か月でPERの差が急拡大していることの説明にはなりません。
そこで、短期間でどのような変化があったのか見ていきたいと思います。
強気すぎるテック業界
一般的に3月が転換点となりやすいのは、
- 多くの企業が、1月、2月に「ワイの企業、今年はこうなる気がする」を発表する
- その後(2,3月)、それを元にアナリストらが業績予想(予想EPS)などを出す
- それ以降、高くなった(低くなった)予想EPSを元に予想PERを求めるため、高い(低い)値となりがち。
との理由からです。
※予想PERは『企業の出す業績予想』から出ると思っていたのだけど、調べたら『アナリストらの総意』だったもよう(Price–earnings ratio - Wikipedia)知らなかったよ…。
というわけで、『2月後半から1週間毎の予想EPS、予想PERを確認してみると、
- 予想EPSがガンガン上昇していき、予想PERがそれに応じて下落していく
という推移を辿っていました。

(Investing.comから作成)
※”予想”というところが大事。
これをリードしたのが、テクノロジー銘柄の『利益(EPS)成長率予想』で、

テクノロジー業界の値だけを抜き出すとこうなります。

ん?
急に強気になりすぎてない?
繰り返しになりますが、これら予想は『アナリストらの総意』なので、そこらへんに転がっている『個人投資家の感想』より高い信頼性をもったデータであることは間違いありません。
それはもう疑いようのない事実です。
とはいえ、急に
「先週(3/13)はEPS成長予想を36.4%って言ったんだけどさー、いま(3/20)は42.5%だと思うんだよね~」
と言われても戸惑ってしまいます。
ちなみに、その理由は
- Googleらビッグテック企業が、2026年に巨額のAI投資をすることを発表したから
といったモノが主ですが、

これの発表によって『EPS成長予想』が大きく修正されたということは、
- アナリストらの予想が間違っていた ⇒ 「そこまでAI投資は拡大せんだろう」と予想していた
とも言えます。
つまり、アナリストらがビッグテックの発表時に
「え〜、そこまで大きなAI投資するのー?予想してなかったわー」
とボヤいたであろうことが想像できます。
だから『予想』というやつはイヤなんだよ。
先行き不透明
…というわけで、
- 実績PERと予想PERの差が大きく開いていったのは、3月に「テック企業の利益は思っていたよりすごくなるわ!」という予想が出てきたため
と言えるでしょう。
これをどう判断するかは難しいところですが、個人的には
- 先を読むのがすごく難しい状況にある
と受け取りました。
暴落おじさんとしての本音を言えば、予想EPSの大幅な上方修正を『楽観視』と捉えて、
「こんなにも急激に成長率が変化するのなんておかしい!」
「いまの予想PERの低さは詐欺だ!」
「暴落すんぞ!」
と叫んでしまいたいところです。
しかし、予想EPSの大幅な変動は『先が未知数(特にAI)』であることも意味しているため、
「AIが予想していたより使えなかったわw」
「AIがここまで生産性を爆上げするとは思ってなかった…!」
のどちらにもいきかねないとも言えます。
つまり、どうなるか分からんのです。
しかし、私のようなインデックス投資家は「どうなるか分からん」との付き合い方を知っています。
これまでもずっと「どうなるか分からんからオルカンで」と投資をしてきたからです。
このアナリストらの予想を『楽観視』と捉えて現金を増やしたり、テック業界のウェイトを下げたりしたくなる気持ちもありますが、そうしたのちに、
- インフレが加速!
- テック銘柄ばかりが急成長!
なんてことになってもおかしくありません。
どうなるか分からんので。
というわけで、長々と色々なデータを用いてきておいてなんですが、
「これまで通り自分のリスク許容度の範囲内で、広く薄く投資しておいたらいいんじゃね?」
を結論とさせていただきます。
何も恐れる必要はなかったんだ。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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