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ハーバード大学の基金の運用 x リーマンショック

むかーし、

「株価が好調な時は株式を保有したままで、下落時には空売りしたらいいだけじゃん」

「楽勝じゃん」

と考えていたことがありました。しかも実行しました。

 

あなたもありますね?

 

ね?

 

が、あたり前のようにそれには失敗し、それを教訓にひたすらバイ&ホールドするスタイルに変更、おかげで現在にかけて大きなリターンを手に入れることに成功しました。

 

この『タイミングを読んで空売り』といった短期投資で勝つことが難しいのは、その戦いがゼロサムゲームであり、ゼロサムゲームの相手は屈強な機関投資家たちであるからです。

 

過去に、

  • この屈強な機関投資家の代表格とも言えるウォール街の投資家たちの平均年収は4500万円(2015年時点)
  • これを超えられるほどの能力がなければ、市場(機関投資家たち)に勝つことは難しい

なんてことを書いてきました。

が、本日は、

  • 屈強な機関投資家たちでさえ、暴落時に勝つことは難しい

という話を書いていきたいと思います。

 

取りあげますのは、ハーバード大学の基金(HMC:Harvard Management Company)です(Harvard University)

 


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Harvard Management Company

『ハーバード』と聞いただけで、何だかすごそうに感じてしまいますね。

 

HMCは、奨学金や研究開発費に使われ、年間の大学運用費の1/3以上をまかなう規模の基金で、株式や債券だけでなく、2025年時点で569億ドルの資産を未公開株や不動産など幅広い分野を組み込んだポートフォリオによる運用をしており、

過去には「全米で最も高く評価されている投資会社の一つ」と評されるほどの機関でした。(The Makers of Harvard's Millions)

 

実際に、1992-2002年の10年間のパフォーマンスは、機関投資家向けファンドの年間リターンを5%をも上回る実績を出していたわけなので、この高評価も理解できます。

 

しかし、リーマンショック時には、ハーバード基金は−27.3%の悲惨な結果を招きました。

リーマンショック時のアメリカの大学平均リターン−18.2%に比べると、ハーバードの−27.3%が断トツでひどいパフォーマンスであったことが分かります。

 

この結果からは、

  • リーマンショックまでは、大きなリスクを負っていたから大きなリターンが手に入っていただけ
  • 市場が不調時には、負っていたリスク相応のダメージを受けただけ

と見えてしまいますね。

 

そしてハーバード大学は、この損失によって

  • 研究規模の縮小
  • 採用の凍結
  • 研究施設の建築中止
  • 275人の職員削減や、勤務時間の短縮

などを行うこととなりました(Harvard Endowment Fell 22 Percent in Four Months)

 

大きくリスクを取っていた投資の失敗によって、世界最高水準の教育の質を下げざるを得なくなったわけですから、とても残念な結果です。

 

少し前には『政府系ファンド』が話題にあがることもありましたが、

  • 投資によって短期的な費用を賄うことは非常に難しい

ということも改めて分かります。

 

ハーバードの投資法

ちなみに、ハーバード基金が他の大学に比べて大きく失敗したのは、

  • プライベートエクイティ

  • 不動産

  • ベンチャー投資

といった『オルタナティブ投資 ≒ 流動性の低い(売りづらい)資産』を多く抱えていたことも要因の一つとして言われておます(Moody's explains Harvard and university financial crises)

 

さらに、これら投資のために短期資金での資金調達をしていたため、借り入れのロールオーバーが難しくなった(金融危機によって借し手がいなくなった)ことも挙げられます。

 

さらにさらに、金利上昇のヘッジとしての大規模な金利スワップ契約をしていたため、金融危機によって起こった金利低下によって大きな評価損を被り、かつ担保の差入れ要求を受けたことも影響したと言われています(Liquidity and Leverage)

 

投資リターンを追い求めることは大事であることは間違いありません。

そして、リターンを追い求める行為は、リスクを高めていく行為に近しいものがあります。

 

もしかするとハーバード大学は、リターンを求めすぎてしまったの”かも”しれませんね。

 

成功体験

なお1995年には、投資資産の58%が上場株式でしたが、リーマンショック時には33%にまで減少しており、上記オルタナティブ投資の比率がとても大きくなっていました。

 

これは、1990年頃に流行った「株や債券より、オルタナティブ資産の方が長期リターンが高い」と考えるイェールモデルがベースです。

イェール大学は、1985年ごろから(リーマンショックまで…)実際にこのモデルで高いリターンを出していたことから、各大学の基金で採用されていきました。

 

ハーバード基金もこれを採用し、実際に「全米で最も高く評価されている投資会社の一つ」と言われるほどのパフォーマンスを出すことに成功していました。

 

そして、

オルタナティブ投資の成功によって自信を深め、

オルタナティブ資産を増やし、

リーマンショックに遭遇し、

資金難に陥り、

教育に必要な資産を削ることとなった

わけです。

 

要約してしまうと、

「流行りものに乗っかったら上手くいっちゃった」

「そこで、調子の乗ってやりすぎてしまったために痛い目にあった」

ということです。

 

誰もが経験するやつですね。

 

とはいえ、これを家庭に当てはめると、最後にたどり着くのは「子どもの教育費を…」なわけですから、恐ろしい話です。

 


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下落時には空売りするだけ

そんな感じで、リーマンショック時におけるハーバードの基金の惨事をお伝えしてまいりました。

 

冒頭で書いた通り『下落時には空売り』を上手く活用できれば、市場の暴落を恐れる必要はなく、それどころか暴落によって大きなリターンを手に入れることすらできるかもしれません。

空売りまでしなくとも、『そこそこ上手い立ち回り』ができるだけで大きなダメージは回避できるかもしれません。

 

しかし、「全米で最も高く評価されている投資会社の一つ」とまで言われたハーバード基金でさえ、リーマンショック時には悲惨な結果を招きました。

 

このブログの読者の方々の中に「暴落しても自分は上手く立ち回れる」と考えている人は少ないと思います。

しかし、「暴落した時、自分は上手く立ち回れない」と市場が好調な現在から考えている人も少ないでしょう。

 

というわけで、『なんだかすごそうな人たちの失敗』から『自分のやらかす可能性』を少しでも感じてもらえればと思い、この記事をお届けさせてもらいました。

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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