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上場廃止が新規上場より多いアメリカ

最近、日本株式が見直され、アメリカ株式に対する期待感が少しばかり減少しているように感じます。

実際に、私もアメリカへの集中投資はせずに、日本株式を含むオルカンに投資しています。

 

しかし、

「やっぱり投資対象としてアメリカは魅力的だよね」

と思うことは多いです。

 

今回そう思わされたきっかけとなったのは、OECDから公開されていた『新規上場企業と上場廃止市場の数(OECD)』を見たことです。



見ての通り、アメリカは、新規上場企業数に比べて上場”廃止”企業の方が多くなっています。

 

なお、全世界で見るとこんな感じでバランスが取れていますが、

 

日本は、アメリカと比べて新規上場が多いだけでなく、上場廃止が極端に少ないです。

 

 

これを最初見たときに

「上場企業がどんどん増えている日本すごいじゃん!」

と思ってしまいましたが、

  • 経済が絶好調のアメリカの上場数が少なく、そうではない日本の上場数が多いということは、『上場数が多い=素晴らしい』ではない

ことが分かります。

 

上場企業が生まれる時

上記のようにアメリカに比べて日本の新規上場企業の数が多いのは、

  • 日米で(スタートアップなどの)企業の目指しているゴールの差異

によるものだと考えられます。

 

日本では『上場』をゴールと目指しているスタートアップ企業が多く、実際に「上場を目指しています」という声を聞く機会が多いです。

しかし、アメリカでは『大企業に買収されること』をゴールとするスタートアップが多いです。

実際に、NVCA Yearbookによると、

  • アメリカでは2004–2021年の平均で、ベンチャーキャピタルの出口戦略の92%が買収(M&A)だった

とされていますNVCA-2022-Yearbook

 

そもそも、アメリカには

  • ベンチャーキャピタル
  • プライベートエクイティ
  • プライベートクレジット

など、上場せずとも資金調達できる仕組みが整っており、ベンチャーキャピタルの規模は、

  • 日本  :    73億ドル
  • アメリカ:2350億ドル

と、比較になりません(The State of Venture Capital in Japan)

 

そんな大規模な市場から生まれた企業が買収されることをゴールと定めているわけですから、上場企業数は増えづらく、また、上場企業の買収も多いことから、アメリカ企業は企業数が減少し、資本が集中する傾向にあります。

 

スタートアップに限らず、弱い企業も強い企業に吸収されていくことによって、アメリカ企業の新陳代謝はとても速いです。

 

新陳代謝が強さの秘訣

そして、この米国企業の新陳代謝の速さが米国企業の強さに関係していると言われています。

 

例えば、Hendrik Bessembinderの有名な研究である『Do Stocks Outperform Treasury Bills?(ASU W. P. Carey)』では、

  • 過去90年間で、わずか86銘柄が16兆ドルの富の創出、つまり株式市場全体の半分を占めています。富の創出はすべて、パフォーマンス上位1000銘柄によるものであり、残りの96%の銘柄は、合計で1ヶ月物米国債と同額でした
  • 大きなリターンを生んだ企業は規模が拡大し長く存続する。一方、低リターンの企業は小さくなり、市場から退出する傾向がある。

つまり、ごくごく一部の強い企業が市場をリードしているだけであることが分かります。

 

反対に、日本は上場企業がどんどん増えていくものの、消えていく(吸収される)企業が少ないために、資本が集中するペースが遅い or 集中すらしていない。という状況にあります。

「日本には強い中小企業が多い!」という言葉を『日本の強さ』として聞く機会は多いですが、これを『良』と評価していいのかどうか、非常に難しいところですし、結果(これまでの経済成長率)を見ている限りは『よくない傾向』と感じてしまいます。

 


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創造的破壊

アメリカ企業の強さを表現する時に『創造的破壊』という言葉を使うことがあります。

 

これは、ヨーゼフ・シュンペーターが1942年に発刊した『資本主義・社会主義・民主主義』という著書に出てくる言葉で、

「創造的破壊こそが資本主義の本質的な事実である」

「資本主義は静的なシステムではなく、新しい商品・技術・市場・組織が既存の構造を内側から破壊し続ける進化的プロセスである」

としています。

 

この創造的破壊の代表例は、

  • DVDレンタルからストリーミング
  • 携帯電話からスマートフォン
  • 手紙から電子メールなど

などで、これらの移行によって多くの企業が消滅していきましたが、その代わりに今の時代をリードする企業が誕生しています。

 

少々話はズレますが、

  • 日本でキャッシュレス決済の普及が遅いのは、現金が信頼できる、利用するのに不便も少ないからだ

といった話がありましたが、これも『現金が破壊されない(する必要がない)から新しい(より便利な)システムが発展しない』という意味では、『破壊なくして成長なし』の例としてあげられるでしょう。

 

こういった新陳代謝の激しいアメリカに対して、

日本では中小企業を過剰に守っていることで『ゾンビ企業』が存在しているといった批判があるほどに新陳代謝が遅く、冒頭で紹介した『上場企業数・上場廃止数』を見ても、似たような問題が起きていると想像できます。

 

うーん。

やはりアメリカ経済は強そう。

 

とはいえ、それが人々を幸せにするものなのかどいうかは不明です。

 

破壊されたくない

少なくとも私がサラリーマンだった時に、所属していた企業が「創造による成長を享受するために倒産しろおおお!」といって破壊されたら、辛い時を送ることになっていただろうと想像します。

「破壊によって日本が成長するんじゃああ!!!」と言われても、「やめてくれええええ!!!」と返すことでしょう。

 

そんな想像をしていると、改めて日本でサラリーマン生活を送れたことに感謝したくなります。

 

最後に

というわけで、

  • 日本の『上場企業数の多さ』『上場廃止数の少なさ』に一瞬だけ喜んだものの、この状況が『良い』というわけでもなかったわ

というお話でした。

 

株価だけを見ていると、日本への期待値が高まり、アメリカへの期待値は過去ほどではなくなっているように感じますが、各国の『企業の破壊』に対する傾向が変わりそうな傾向は見えないため、これからも『日本で働き、アメリカに投資する』という方法が良い選択になるのではないかと想像させられました。

 

と想像しつつも、実際に投資するのはオルカンですけどね。

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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