「娯楽が欲しければ映画を見に行きましょう。投資に娯楽を求めてはいけません。」
というショッキングな言葉で始まるモーニングスターの記事が面白かったのでご紹介。
(What Does it Cost to Be Entertained By Your Investments? Try 14% a Year)
その根拠の一例として、
2024年11月末までの3年間、S&P500が(ドル加重収益率で)年間11%リターンのリターンをあげていたが、テーマ型ファンドは年間7%のマイナスリターンとなっていた。
※『ドル加重収益率(Dollar-Weighted Return)』とは、投資家の投資タイミング・金額などを考慮したリターン
という結果をあげています。
『テーマ型ファンド』とはAIなど特定の分野に特化したファンドのことで、うまくいけば市場平均よりも大きなリターンが期待できるよりファンドで、それを『娯楽的なファンド』としてます。
とはいえ、
- そもそも株式ファンドであれば、S&P500のようなインデックスであっても、刺激の強い娯楽的なファンド
です。
そこで、モーニングスターの記事では、この『テーマ型ファンド』の比較対象として、『S&P500よりももっと退屈なファンド』である
- Target-date 2050 funds:世界株式、債券に投資し、2050年に向けてリスク資産を減らしていくファンド
を採用しています。
というわけで、
- テーマ型ファンド
- 退屈なファンド(世界株式、債券のバランス調整型ファンド)
を比較した結果がこれ。
- 刺激的なファンド:年間-7%リターン
- 退屈なファンド :年間+7%リターン
言い換えると、
- 刺激的なファンドは、退屈なファンドより年間14%リターンが劣っていた
ということになります。
んで、これをもって、
「投資に娯楽を求めてはいけません」
という冒頭の言葉になるわけです。
とはいえ、これは極端に差が出ている時期を切り取っているだけで、
- たった3年間のリターンを扱っただけのもの
- 時期によってはテーマ型ファンドの方が高リターンな時期もある
ということも理解しなければなりません。
しかし、テーマ型ファンドにはリターンが劣後しやすい構造となっているのも事実です。
というのも、テーマ型ファンドには、
- そのテーマが話題になったのちにファンドが登場する。
- テーマ型ファンドは高コストである。
という問題があるからです。
テーマ型ファンドの弱点
ファンドが出たころにはもう遅い
『話題になってから登場する』ということは、すでにそのテーマに投資している投資家が多くいるということを指しているため『すでに割高となっている』可能性が高いです。
注目されていないテーマを取り扱うファンドを販売したところで、そのファンドの売れ行きはイマイチとなるため、
- 新規販売を開始したファンド ≒ 話題になっているテーマを取り扱うファンド
と考えられるためです。
つまり、
- 『投資家が儲かりそうなファンドを販売する』のではなく、『売れそうな(販売元が儲かる)ファンドだから販売する』類のものである
とも言えます。
また、
- テーマ型ファンドの投資家は、あやまったタイミングで売買している。
という問題も起きているようです。
売買のタイミングが悪い
実際に、テーマ型ファンドの資金流出入を見てみると、
- 資金流入があった(買う人が増えた)のちに、ファンドのリターンが落ちる
- 資金流出があった(売る人が増えた)のちに、ファンドのリターンが上がる
という(やらかしている)傾向があることが分かります。
『テーマ型ファンドで投資をする』ということは、
- 流行っているからこそ投資をする
となるわけですが、反対に
- 廃れてきたら売却する
という行為を組み合わせる『売買するタイミング』が重要な投資です。(テーマにもよりますけども)
しかし、上記の傾向を見ている限り、
- 売買のタイミングが、完全に裏目に出ている
という悲しい結果となっています。
もちろん、テーマ型ファンドで大きなリターンを手に入れる投資家もいるでしょうが、『多くの投資家は失敗している』と理解しておく必要がありそうです。
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さて、最後に「投資に娯楽を求めてはいけません」という言葉についてのスパコンSEの見解を書いておこうと思います。
わたし自身は投資に娯楽を求めてはいませんが、それを否定することはありません。
投資を楽しみつつ、かつ市場平均を超えられるのであれば、とても素晴らしい体験となることは間違いないからです。
さらに、『投資を楽しむ』といっても、すべてが『テーマ型投資に賭ける』ような投資ばかりになるわけもなく、
- リターンが低くなったとしても、安定した配当が見込まれる銘柄を探しだす
ような『自分の理想を見つける楽しさ』も存在しています。
ただし、こういった投資するのであれば「市場平均を超えることは非常に難しい」ということだけは理解しておく必要はありそうです。
というわけで、
- アクティブな投資は、節度をもってチャレンジすれば良いじゃん!
と、リーマンショック時に信用取引で全財産を失った私なんかは思います。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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