古代ギリシャは映画や小説などでよく取り上げられているように、圧倒的な覇権国として君臨していました。
その権力を支えていたモノのひとつが『優れた税制』であったと言われています。
古代ギリシャでは、『お金持ちから多くの税金を取る』という考え方をベースにした税制が準備されており、宝石や高価な衣装などの贅沢品には最高10倍の税金が課せられていたり、市民に対する直接的な課税は多くなかったと言われています。
そして、古代ギリシャの税制のなかでも特にユニークなモノとして『アンチドシス』というものがあります。
最強の税制『アンチドシス』
アンチドシスは、紀元前400年ごろの修辞学者であるイソクラテス(紀元前436年~338年)が82歳で書き上げた論文で、
- 税金の支払いを命じられた市民が『自分よりも資産のある市民』を告発することで、税金の支払いから逃れられる制度
です。
素晴らしい制度ですね。
また、アンチドシスには
- 告発された市民は『告発した市民と全資産を交換する』ことで、納税を拒否することができる
というルールもあります。
イメージとしては、
告発したヤツ 「あいつの方が資産を持ってるよ!!」
告発されたヤツ 「いやいや、告発したヤツの方が資産をもってるし!」
税務署的なヤツ 「告発したヤツの方が資産を持っているんなら、資産を全部交換してもいいよね?」
税務官的なヤツ「交換したことで告発したヤツのほうが金持ちになったから、告発したヤツから税金をとるわ」
なんていうやり取りになります。
お分かりのとおり、この制度では
- 金持ちが、金持ちの隠し財産を暴くことで、税収が増える
ことが期待できます。
今も昔もおこなわれている『金持ちによる脱税(資産かくし)』は、金持ちに富が集中する原因ともなります。
アンチドシスによって金持ちが適切な納税を行うことは、『金持ちの隠し財産を世の中に放出させる効果』がありますので、
アンチドシスの対象とならない庶民にとっては『素晴らしい制度』だったことでしょう。
SNS全盛のいまの時代にこのような税制があれば、
- 不正に富をためこむことの防止
- 税収のアップ
だけでなく、
- 『お金持ち同士による不正の暴き合い』というエンターテインメント
となることは間違いないでしょう。
というわけで、『お金持ちから多くの税金を取る』という税制が、古代ギリシャの繁栄が保たれていた要因のひとつだと考えられています。
しかし、そんな古代ギリシャも、徴税を担当する組織の腐敗によって国家予算が不足し、通貨を大量発行することで乗り切ろうとしましたが、1万倍ものハイパーインフレになって国家が崩壊することとなりました。
腐敗からの財政出動で国家が破綻…。
2000年以上前にも起きていたこの失態を、現代の国家がやらかさないことを祈るばかりです。
なお、本記事を書くきっかけとなったのはこの本です。
久しぶりに「本気で面白かった!」と思える良き本でした。
出典:
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