『ウォール街、30銘柄での分散投資は「妄想」-不運避けるには最低200必要』という記事があったので紹介&考察していきます。
元の記事はこちら
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ウォール街、30銘柄で分散投資は「妄想」-不運避けるには最低200必要(日本語記事、省略されすぎて結論しか理解不能w)
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Former AQR Quant Says Wall Street Isn't Doing Portfolio Diversity Right(原文、根拠が紹介されているけど英語)
ざっと整理すると、
- いままでは『数十銘柄への投資することで十分な分散効果が得られる』とされていたが、それは誤っている
- 『25銘柄への投資』と『200銘柄への投資』の不運なケースを比べると、『200銘柄への投資』の方が40%ほど良い結果となった
ということが報告されています。
これは結構おどろきの結果ですね。
どうしてそのような結論になったのか、詳しく見ていきましょう。
『数十銘柄への投資で十分』という妄想
この報告は、金融サービス会社 NDVR の最高投資責任者である Roni Israelov によるもので、1994年~2019年のデータをもとに検証した内容となっています。
いままで『数十銘柄への投資で十分』と考えられてきましたが、その考え方は
- 『すべての銘柄が、同じ期待リターンと同じリスクであると仮定している』という問題を抱えている
と指摘しており、
- 現実には銘柄によって期待リターンやリスクが違うため、それに対応する必要がある
とし、今回の検証をおこなっています。
そこで、実際の株式リターンをベースにランダムな株式ポートフォリオを構築し、それぞれの結果を比較しています。
その結果がこれ。
投資銘柄数ごとに年間のボラティリティの分布をあらわした表で、横軸がボラティリティ(株価の値動きの大きさ)で、縦軸が密度(どれくらいの発生確率か?)です。
例えば、緑線=『500銘柄の分散投資』を見ると、
- 一番とんがっている箇所は、『ボラティリティが17.3%くらいになる可能性が最も高いよ』という意味
- 緑線が16.4%くらいから急上昇し、17.9%くらいにはゼロにまで落ちているのは、『ボラティリティは16.4%~17.9%くらいに落ち着くよ』という意味
となっています。
反対に、灰色選=『25銘柄への分散投資』を見ると、
- 一番うえにある箇所は、『ボラティリティが18%くらいになる可能性が最も高いよ』という意味
- 灰色選が15%くらいから上昇し、22%くらいまでなだからに減少しているのは、『15%~22%くらいまで幅広いボラティリティになるよ』という意味
ということが分かります。
端的にいうと、
- 25銘柄程度の分散投資じゃあ、ボラティリティの変動が結構はげしいぞ
ということがグラフから読み解けます。
そして、この結果から、
- 『25銘柄への投資』と『200銘柄への投資』の不運なケースを比べると、『200銘柄への投資』の方が40%ほど良い結果となった
ということも導き出されています。
(『不運』や『良い結果』の具体的な意味は不明ですが、イメージは伝わるでしょう)
『ボラティリティを下げる=正義』ではないけど…
とはいえ、
- 『ボラティリティを下げる』ということは、期待リターンも下げることになる
と言えるわけなので、「ボラティリティを下げるために数百銘柄への分散投資をするべきだ」と、一概には言えません。
バフェットの有名な言葉に、
「分散投資は、投資家が何をやっているのか理解していない場合にのみ必要である。」
というものがある通り、
- 有能な投資家が、みずからの判断によって投資をしている限り、広く分散投資をする必要はない
- むしろ、分散投資することでリターンを押し下げることになる
ことも事実です。
しかし、『リスク分散のために複数銘柄への投資をしている投資家』にとっては、今回の報告は見落としてはならないモノとなっています。
過去『常識』のように扱われていた情報は、テクノロジーの進化や、データ量の増加によって、日々更新されていきます。
単純に精度の高い情報になることもあれば、まったく違った情報になることもあります。
これは『○○”さえ”しておけばOK』という、投資先を限定するような手法によく当てはまります。
例えば、
- ダウの負け犬戦略という、NYダウ銘柄から配当利回り上位10銘柄を買う
- ○○のアノマリーという、過去の経験則だけを信じて投資する
- グロース投資という、高成長率の銘柄にだけ集中投資する
という手法は、『過去にすばらしいリターンをもたらしてくれた手法』が、
- 今ではまったくリターンをもたらさない手法になった
と、ということはザラにあります。
その点、インデックス投資であればそういった心配が少ないといえるでしょう。
とはいえ、
- インサイダー取引があたり前に行われようになる
- 半数以上の投資家がインデックス投資をするようになり効率的市場が崩れる
などによって、『インデックス投資の優位性』が失われることさえもありえます。
それでも、我々のような”ふつう”の個人投資家にとって『インデックス投資』という究極の分散投資をすることを超える有力な投資方法はありません。
よって、
「インデックス投資よ、これからもベストな選択肢であり続けてくれ!」
と祈りながら、この記事を終わりにしたいと思います。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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