『配当金だけで10年以内に資産を2倍にできる高配当銘柄』なる記事があったので紹介しつつ考察していきます。
3 Stocks That Could Double Your Money in 10 Years on Dividends Alone
「どれだけの期間があれば資産が倍になるのか?」を計算するための『72の法則』に当てはめると、『配当利回りが7.2%以上の銘柄』が対象になります。
その銘柄は、下の3つ。
- デボンエネルギー(ティッカー:DVN)
- Medical Properties Trust(ティッカー:MPW)
- ベライゾン・コミュニケーションズ(ティッカー:VZ)
では、それぞれ見ていきましょう。
デボンエネルギー(ティッカー:DVN)
デボンエネルギーは、石油やガスの探鉱、輸送などを手掛ける企業で、直近の配当利回りは8.72%です。
この利回りであれば8年強で資産を倍増させることができます。
直近の株価の値動きは以下の通りです。
2020年からの株価の乱高下は、『新型コロナウィルス』や『ウクライナ侵攻』が起因による原油価格が安定しないことが原因です。
また、『石油・ガス業界』というだけで将来性のないネガティブなイメージを持たれがちですが、デボンエネルギーの見通しでは「今後10年間は安泰である」とされており、それが正しければ『10年以内に2倍』は夢物語ではありません。
この『期待されていないエネルギー企業が大きなリターンをもたらす』という話からは、
- 衰退産業にいるスタンダードオイル社が1950年~2003年のあいだ、投資家に年率平均で14.42%のリターンをもたらし続けた
という話を思い出します。
(詳しくはこちら)
『期待されていないからこそ高いリターンとなる』といったケースは珍しくありませんので、そういった面からもデボンエネルギーには注目です。
Medical Properties Trust(ティッカー:MPW)
Medical Properties Trustは、ヘルスケアサービス関連のREIT(不動産投資信託)で、直近の配当利回りは9.78%です。
この利回りであれば、7年強で資産を倍増させることができます。
直近の株価の値動きは以下の通りです。
いまでは景気後退期に入るコトが懸念されていますが、『医療×不動産』は景気後退に比較的に強いと言われています。
それでも2022年に暴落しているのは、
- 金利上昇によるREIT事業への不信
- 最大の投資先であるSteward Medical Groupの不振
があります。
確かに、アメリカでは金利の上昇により個人向けの住宅販売は低迷しているものの、医療用の不動産(病院など)の契約者は信頼できるケースが多いため、他のREITと比べて安定した収入が期待できます。
アメリカでは、今後も医療の需要が拡大していくことはほぼ間違いないため、長期的にも期待できます。
また、『10年増配を続けている』という点も、Medical Properties Trustを魅力的に見せています。
ベライゾン・コミュニケーションズ(ティッカー:VZ)
ベライゾン・コミュニケーションズは、フォーブスによる2019年の調査によると世界で2番目の通信コミュニケーション企業で、直近の配当利回りは6.9%です。
この利回りであれば、資産を倍増させるのに10年半かかることになり、タイトルにある『10年以内』には合致しません。
しかし、紹介記事では、
- 16年連続で増配を続けており、このままいけば10年で資産を倍増させることができる
という根拠によって、『10年以内に倍増できる銘柄』に選ばれています。
最近の株価はこんな感じ。
2022年、株価が大きく下落していますが、これは
- FF金利の上昇により、アメリカ市場全体の株価の下落によるもの
- ベライゾンの新規契約者数が市場予想を下回った
ためです。
前者に関しては、ベライゾンそのものに大きな問題があったわけではなく、FF金利が落ち着けば自然と株価が上昇していくことが予想できます。
後者に関しても『市場予想を下回った』ものの、契約者数が増加していることに変わりはなく、それほど大きな心配はいらないのかもしれません。
また、ベライゾンの配当性向が非常に高いことにも注目です。
直近では55.54%となっており、これは
- 企業のあげた純利益の55.54%を配当金として還元している
という意味です。
アメリカ企業の配当性向を平均すると30~40%程度になるため、ベライゾンの配当性向がかなり高いことが分かります。
これは『純利益を事業に再投資していない』=『業績の伸びがあまり期待できない』というデメリットにもなりますが、
反対に『再投資せずとも安定した経営ができる成熟した企業である』とも言えます。
ベライゾンは5Gなどの先端技術も提供しており、これといった弱点は見当たりません。
株価が下落したいまこそ仕込むタイミングなのかもしれませんね。
まとめ
といった感じで、「配当金だけで10年以内に資産を2倍にできる高配当銘柄」という記事で紹介されている3企業を紹介させてもらいました。
どの銘柄も”とりあえず”魅力的に見えますね。
しかし『高配当銘柄=いい銘柄』とは限りません。
『配当利回りが高い』ということは、
- 株価が低い
- つまり、将来が期待されていない or 業績がイマイチである
という銘柄である可能性もあり、今後の業績によっては
- 株価も配当も下落していく
- 最悪、企業が破綻することもある
というリスクがあります。
わたくしスパコンSEも、2008年に6%を超える高配当につられて『ニューシティ・レジデンス』というJ-REITを買ったわけですが、その高配当を受け取れたのは1,2回だけで、その後に業績が急降下、『J-REIT史上初めての破綻』というクジを見事に引き当てました。
『ほかよりもかなり魅力的に見える銘柄』には『大きな問題点』が隠れていることが往々にしてあります。
もしここで紹介したような銘柄に投資するのであれば、
- その『大きな問題点』を探し出し
- その『大きな問題点』を許容できるかどうか検討する
ことが最低限必要です。
決して「やった!高配当だぜ~」と軽い気持ちで手を出さないようご注意ください。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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