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LIBORの廃止の影響をわかりやすく解説【誰も知らない金融危機LIBOR消滅】

世界でもっとも重要な金利指数のひとつであるLIBOR(ライボー)が、2021年末に一部を除いて消滅したことをご存じですか?

 

LIBORとは『ロンドン銀行間金利(London Interbank Offered Rate)』のことで、世界中で300兆ドル(3京円)を超える取引で使われている指標で、代表的なモノとしては

  • 国境を越えたお金の貸し借りの時の金利
  • 債券の金利

などで使われています。

(『京』なんて単位初めて書いたかもしれない…)

 

LIBOR消滅の影響を、わかりやすい身近な例で説明すると

  • 『奨学金』や『住宅ローン』の変動金利を決めるための指標が消えた

といったことが起きています。

 

具体例をあげると、イオン銀行(旧GEコンシューマー・ファイナンス株式会社)の住宅ローンは

  • LIBORの公表している金利をベースに、イオン銀行が取り決めた調整幅を上乗せした金利にしている
  • 例えば、『LIBORの金利が0.2%』だった時、『イオン銀行の上乗せ金利が0.1%』だとすると、住宅ローンの変動金利は0.3%になる

と取り決められていたわけですが、金利のベースであったLIBORの指標が消えてしまったわけです。参考:LIBOR公表停止後の後継の基準金利について

 

つまり、LIBORの消滅によって

  • 住宅ローンの変動金利を決められなくなった

ことになります。

 

ここまで読んで、

「LIBORの代わりになる指標はないの?」

と思った方も多いでしょう。

 

LIBORの代わりはあります。

むしろ、代わりになりうる指標が多くあるせいで困った事態を招きそうです。

 

例えば、LIBORの代わりとして

  • イオン銀行では『TIBOR(東京IBOR)』を採用
  • 連邦準備制度理事会(FRB)は、SOFR(担保付翌日物調達金利)を採用(仮)
  • ユーロ圏では主に『EURIBORユーロIBOR』を採用

など、組織によって様々な指標が使われています。

 

当然、指標によって『金利』が違えば『金利の動き方』も違います。

 

もし、あなたが『LIBORを基準でお金を貸していた』のであれば、LIBOR消滅時に

「LIBORの代わりにする指標は、できるだけ高い金利になる指標にしたいなぁ…」

と思うでしょう(金利が高ければ儲かる)し、

 

反対に『LIBORを基準でお金を貸りていた』のであれば、

「LIBORの代わりにする指標は、できるだけ低い金利になる指標にしたいなぁ…」

と思うでしょう(金利が低ければ返済額が少なくなる)

 

つまり、『貸し手』は「高い金利にしたい」と考え、『借り手』は「低い金利にしたい」と考えるため、そう簡単には新しい指標を決めることができないわけです。

 

また、あなたが住宅ローンを組んでいたとして、

  • 知らぬ間に変動金利のベースが、『高めの金利がでる指標』に変えられていた

としたらどうでしょう。

 

激怒ですよね。

なかには損害賠償を求める人もでてくるでしょう。

 

LIBORが消滅した今、世界中でこの問題が起きる可能性があります。

 

しかし、この状況を知る人は多くないようです。

 

その理由の一つは『LIBORが複雑で難しいから、話題に上がりづらいため』だと思いますので、この記事ではLIBOR廃止の影響をわかりやすく解説していきたいと思います。

 

なおこの記事は、著書『誰も知らない金融危機LIBOR消滅 著:太田 康夫』を参考に書かせて頂いています。

詳しく学びたい方は、ぜひ読んでみてください。

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<目次>

 

LOBORの廃止の影響をわかりやすく解説

まずは『LIBORの金利はどう決まるのか?』を見ていきましょう。

 

わかりやすく端的に書くと、

  • ロンドン市場にいる複数の有力銀行が『実際の取り引きで使うであろう金利』の平均

で決められていました。

 

つまり、

有力銀行A「うちは、0.5%の金利でお金を貸すよ」

有力銀行B「うちは、0.4%の金利でお金を貸すよ」

有力銀行C「うちは、0.3%の金利でお金を貸すよ」

と提示してきた時には、3銀行の平均をとって『LIBORの金利は0.4%』と決められます。

 

なお、実際は『極端な値』を省くために、

  • 高い金利を提示した上位25%
  • 低い金利を提示した下位25%

は計算の対象外とし、『残り50%の銀行が提示した金利』の平均を求める決まりとなっています。

 

つまり

  • LIBORの金利は、銀行が提示する金利で決まる

ことになり、見かたを変えると、

  • LIBORの金利は、銀行の意志によってある程度コントロールできる

とも言えます。

 

そして、LIBORは世界中の様々な取引で使用されていることから、例えば

「いまはお金をいっぱい貸し出してるから、変動金利を上げたいな~。じゃあ、LIBORに提示する金利をちょっと高めに出そうかな」

「いまは借金が多いから、変動金利を下げるためにLIBORに提示する金利は低くしよう」

みたいなことができてしまうわけです。

 

そして実際にこういった不正が起きてしまいました。

(上位、下位の25%を除いているだけでは防ぎきれなかったんですねぇ…)

 

不正が発覚した後に、LIBORの運営機関は、

  • 不正な金利を提示した銀行に対して、厳しいペナルティを準備
  • 銀行内の監視体制の強化するよう指示

などの規制強化を行い、LIBORの信頼を取り戻そうとしましたが、

「ペナルティを受けるリスクを負ったり、業務負荷をあげてまでLIBORに協力するメリットはないな」

と、銀行に判断されたりとで、上手くいきませんでした。

 

LIBORが信頼されていた時代には

  • 『LIBORに金利を提示する銀行』=『信頼できる世界的な銀行』

とみなされていたため、銀行も喜んでLIBORに協力していましたが、LIBORが信頼を失ったことによって、『LIBORに金利を提示する銀行』であることのメリットが消滅してしまったわけです。

 

そして、そのままLIBORの信頼が失われていき、最終的には『廃止』との決断が下されたわけです。

 

LIBORの代わりは?

さて、LIBORが消えたことで、様々な機関が「LIBORの次の指標はこれにしよう!」と言っているわけですが、いまのところ『国際間の取引』で使われるであろう指標としては、『SOFR(ソフラ、そーファー)』が有力視されています。

(読み方は統一して欲しいなぁ…)

 

『SOFR』とは、わかりやすく書くと

  • ニューヨーク連邦準備銀行が提示する、『実際に取引で使用された金利』の平均

で、大きな特徴としては、

  • 実取引がベースなので『不正の余地が少ない』というメリットがある
  • 世界の基軸通貨である米ドルの市場がベースなので、使いやすい

の2点があります。

 

天下のアメリカ様の指標なので「まぁ、無難だね」と思う方も多いでしょう。

 

しかし、いままでLIBORが『ロンドンベース』だったのには理由があります。

 

それは

  • アメリカが信頼できないから

です。

 

アメリカが世界中から信頼されれいると思うなかれ

投資や金融に詳しい方の中には、

  • 世界の金融の中心地は、ロンドン金融市場シティ

だと認識している方も多いでしょう。

 

しかし、その理由を考えたことはありますか?

 

『世界の経済覇権国』は間違いなくアメリカであるのにも関わらず、金融の中心がロンドンにあるわけですから。

 

そうなったのは、

  • アメリカの独善的行動によって、アメリカから資金が逃げた

のが理由です。

 

その、きっかけの一つが米ソの冷戦です。

 

第二次世界大戦の時点では、アメリカとソ連は連合国としてタッグを組んでいたため、ソ連(や、ソ連に近い国)の資金がアメリカの銀行に預けられていました。

 

しかし終戦からたった2年後には、共産主義の封じ込め政策『トルーマン・ドクトリン』が宣言され、冷戦に突入。

共産主義国にたいして、様々な経済制裁が予想される事態となりました。

 

そして、アメリカによる預金封鎖を恐れたソ連をはじめとする共産主義国が、アメリカからお金を回収し、ロンドンをはじめとする欧州に持ち出したわけです。

 

また、多額のオイルマネーを持つ中東でも、

「親イスラエルのアメリカに資金を預けるなんてイヤだ」

と考えるイスラム教徒が多く存在しており、これも欧州にお金が集まった原因です。

 

つまり、

  • アメリカは、気に食わないことがあると預金封鎖してきそうだから、比較的に穏便なロンドンの銀行を使おうか

という考えによってロンドンにお金が集まり、ロンドンが『世界の金融の中心地』となったわけです。

 

こういった経緯をふまえると、

  • アメリカ発の指標『SOFR』が、『LIBOR』のように世界中に受け入れられるのは難しい

となってしまいます。

 

ほかにも、SOFRには、

  • LIBORは『無担保時の金利』を想定しているが、SOFRは『有担保時の金利』なので、SOFRの方が金利が低く出やすい
  • 金融危機時に、LIBORは『金利が上がる傾向にある(銀行の信頼低下による)』が、SOFRは『金利が下がる傾向にある(担保として使用される国債にお金が集まる)』

といった問題があり、そのままLIBORの代わりになれるとは思えません。

 

この状況を特に懸念しているのが、国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)です。

 

LIBORが広く使われているデリバティブ取引への影響は甚大

というのも世界のデリバティブ取引(とくに金利スワップ取引)では、広くLIBORが使用されているためです。

 

この現状について、国際スワップ・デリバティブズ協会のスコット・オマリアCEOは、

金利指標を強化する改革は金融市場がこれまで経験したなかでも最も大きな試練だ。

これだけの規模と影響のイベントは、これまでなかった。

長い時間と経営資源と予算が必要になるが、やり遂げねばならない。

IBORを使うデリバティブズ取引の想定元本が370兆ドルもあり、それは無視したり放置したりできない。

突然の取り引きの途絶といった事態を避けるために、指標の改革が円滑に進むように協力する必要がある。

と、強い危機感を持っていることを表明しました。

 

投資をしていない人は、

「投資市場(デリバティブ取引)が混乱したところで、自分への影響なんてないわ」

と思うかもしれませが、個人投資家にとっては見過ごせる問題ではありません。

 

LIBORから新たな指標への移行が、スムーズにいくことを祈るばかりです。

 

まとめ:LIBORの廃止の影響をわかりやすく解説させてもらいました

といった感じで、『LIBOR廃止』について、できるだけ分かりやすく解説してきました。

(分かりづらい点があったらご連絡ください!)

 

まとめると、

  • 世界中で300兆ドル以上使われている変動金利LIBORが、2021年末で(一部を除いて)廃止された
  • LIBORは、金融機関の取り引きだけでなく、住宅ローンや奨学金でも使われている重要な指標
  • 変動金利を変えるためには、『貸し手』と『借り手』の合意が必要で、そこには高いハードルがある
  • アメリカの『SOFR』が新たな指標として有力視されているが、多くの問題もかかえている

といった感じになります。

 

LIBORが廃止されてからおよそ1か月が経過しましたが、その影響はほとんど報道されておらず、今のところ大きな問題は起きていないように思われます。

それどころか『LIBOR』という単語を目にする機会すらほとんどありません。

 

もしかしたら、次に『LIBOR』という単語を目にするときは、『混乱』や『破綻』『暴落』といった単語とセットになるかもしれませんね。

 

イチ個人投資家としては、そうならないことを祈る(いや、そうなることを祈る?)ばかりです。

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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