更新日:2021/4/27
この記事では、2020年のリターンが一位の投資信託だった『eMAXIS Neo 自動運転』を含む、『eMAXIS Neoシリーズ』について解説していきます。
プロ投資家や企業による解説と違い、いち投資家の書く『忖度なしの評価』をお届けしていきたいと思いますので、最後までお付き合いいただけると幸いです。
『eMAXIS Neoシリーズ』は
- AIが銘柄を選ぶインデックスファンド
というコンセプトで登場した、三菱UFJ国際投信が販売している投資信託です。
「銘柄を選ぶのにインデックスファンドなの?」という疑問もあるかと思いますが、そのあたりも含めて、この記事の中で解説していきたいと思います。
<目次>
- eMAXIS Neoシリーズとは
- Kenshoテクノロジーズの指数とは
- AIによる選定基準は…
- eMAXIS Neoシリーズの評価は…
- eMAXI Neoシリーズの一覧を紹介
- 信託報酬は?
- eMAXIS Neoシリーズのパフォーマンスを確認
- eMAXIS Neoシリーズを買うべきか?
eMAXIS Neoシリーズとは
eMAXIS Neoシリーズは、
- 自動運転
- ウェアラブル
- フィンテック
- ドローン
- 宇宙開発
など、テーマ別に商品が準備されてるファンドです。
投資信託の目論見書を見ると、
投資のインフラに“革新”をプラス。
将来性や高い成長性が期待できる様々な革新的テーマへの投資機会を、より多くの
お客さまへ提供したい。そのような思いからeMAXIS Neoは誕生しました。
eMAXIS Neoは、革新的テーマを対象とする様々な特徴ある指数に連動することをめざす、新時代のノーロード・インデックスファンド・シリーズです。投資初心者の方から投資経験が豊富な方まで幅広く、投資機会のみならず「わくわく感」をお届けすることができると私たちは考えています。
と、紹介しており、
- 革新的テーマへの投資機会を提供したい
- わくわく感を届けたい
の2点がこのファンドのざっくりとした特徴だといえます。
そして、ここでも『ノーロード・インデックスファンド・シリーズです。』とハッキリとうたっています。
その理由は、eMAXIS Neoがアメリカの『Kensho社(スタンダード&プアーズ(S&P)の完全子会社)』が提供している指数に連動する商品となっていることにあります。
Kenshoテクノロジーズの指数とは
この指数は、AIが選定した銘柄によって構成されるのが最大の特徴です。
具体的には、
- アメリカの市場に上場している企業のみ(上場さえしていればアメリカ以外の企業でも対象となる)
を対象とし、その中から
- AIが有価証券報告書(企業の状況を投資家向けに報告するための資料)などを読み込んで、各テーマに関連する企業を選定する。
といった仕組みで動いています。
AIによる選定基準は…
この『AIによる選定』は、
- 企業からの報告書を読み、テーマに関連するキーワードの出現回数や、出現場所から、各テーマに該当する企業かどうか判断する
としているため、『AIが、優良な企業かどうか判断しているわけではない』という点には注意です。
また、多くのインデックスファンドは『時価総額平均(株価×発行株数の大きい企業の投資委比率を高める)』で投資比率を決めていますが、eMAXIS Neoでは『そのテーマを中心にしている企業かどうか』を加味して投資比率を決めています。
具体的には、『遺伝子工学』をテーマにしたファンドであれば
- 遺伝子治療の開発をおもな事業としている企業への投資比率を高くする
- 事業の一部として遺伝子治療の開発をしている企業への投資比率を低くする
といった感じになります。
また、AIが選定する際には、
- 極端に時価総額の低い企業や、売買の頻度が少ない企業は除外する
とされてるのもひとつもポイントです。
まとめると、Kenshoテクノロジーズの指数では、
- AIが各テーマに該当すると思われる企業を、企業からの報告書を読んで選ぶ
- そのときに、企業の業績や将来性は加味しない
- 各テーマを中心にそえている企業の投資比率を高める
- 小規模な企業は対象外とする
となります。
ここまで理解すると、eMAXIS Neoシリーズに対して
- 思ってたよりいいファンドだな
- 全く期待外れなファンドだな
と、両方の意見が出てくるかと思います。
(なお、筆者は前者です)
eMAXIS Neoシリーズの評価は…
まず、ここまでの説明で「AIって言ってるわりに、大したことはしていないのな」と思う人が大半の人かと思いますが、
それを元にファンドの評価をすると、評価をする人が『インデックス投資家』 or 『アクティブ投資家』によって結果が大きく変わってきます。
インデックス投資家目線では
筆者のようなインデックス投資家であれば、
「AIであろうとも、アクティブに銘柄を選定することで市場平均を超えるリターンを手にすることは難しい。
よってeMAXIS Neoのように『キーワードだけをもって無作為に選出する』というファンドであれば、比較的安定したリターンが期待できる」
と考えますので、eMAXIS Neoシリーズの評価は『まずまず』となります。
テーマを絞る点に関しては、ネガティブな評価が多いでしょうが、
「どうしても特定のテーマに集中投資したい」
「でも、ファンドマネージャが銘柄を選ぶような、アクティブなファンドは嫌だ」
と考えるインデックス投資家にとっては、よい商品かと思います。
しかし、アクティブ投資家からは良い評価は得られないでしょう。
アクティブ投資家目線では
アクティブ投資家であれば、
「AIのパフォーマンスを活用し、誰よりも早く割安な銘柄を見つけ、誰よりも早く正確な投資判断をすることで、インデックスより高いリターンを出して欲しい」
と考えるのは当然かと思いますが、残念ながらeMAXIS Neoシリーズの投資先の主な判断方法は「テーマにそった事業をしているか」だけで、「投資によるリターンが期待できるか」は見ていません。
よって、アクティブ投資家からは『期待外れのファンド』という烙印を押されてしまうことでしょう。
よって、eMAXIS Neoシリーズに対して高評価を与える投資家は、
- インデックス投資家でありながらも、特定テーマへの集中投資をしたい人
という、かなりマニアックな人々だけとなってしまいます。
とはいえ、eMAXI Neoシリーズには、かなり多くのラインナップが準備されていますので、ファンドの一覧を紹介していきます。
eMAXI Neoシリーズの一覧を紹介
eMAXI Neoシリーズには、
- 自動運転(自動車の自立走行)
- ウェアラブル(スマートウォッチなど)
- フィンテック(金融サービステクノロジー)
- ナノテクノロジー(ナノスケールの材料の生産など)
- バーチャルリアリティ(VR)
- ドローン(ドローン)
- 宇宙開発(ロケットや宇宙用の車両開発など)
- ロボット(手術用ロボットなど)
- 遺伝子工学(ゲノム編集技術など)
といった多くのファンドが準備されており、三菱UFJ国債投信の言葉を流用すると、
今まさに進化の過程にあり、将来私たちの未来を明るくしてくれるワクワクする革新的なテーマたち
となります。
とはいえ、こういった『新しいファンド』によくあることですが、このファンドにも比較的に高い信託報酬が設定されています。
信託報酬は?
eMAXIS Neoシリーズの信託報酬は、シリーズ問わず『0.792%』となっています。
これは、
- 100万円あずけていれば、毎年7,920円の手数料を取られる
ということになります。
多くの『優良』と言われるインデックスファンドは、『0.2未満の信託報酬』となっていることを踏まえると、
- eMAXIS Neoシリーズの信託報酬は高い
と言わざるを得ません。
とはいえ、
- 信託報酬がいくら高かろうとも、リターンが良ければ問題なし
とも言えますので、リターンについても見ていきたいと思います。
eMAXIS Neoシリーズのパフォーマンスを確認
まずは、三菱UFJ国際投信の出している『各ファンドが連動を目指す「Kensho社」の株式指数のご紹介』という資料から、各指数のパフォーマンスを紹介させてもらいます。
このグラフでは、『宇宙開発』『遺伝子工学』『ロボット』の3つの指数しか取り上げられていませんが、
- 2013年からの5年間は、アメリカ市場全体の株式を超えるリターンを出している
ことが分かります。
また、実際にここ1年間のリターンの一部を紹介すると、
- 自動運転:117.7%
- ウェアラブル:65.2%
- ナノテクノロジー:63.9%
- バーチャルリアリティ:71.6%
など、高いリターンを出している商品も多く存在しており、『ワクワクする革新的なテーマ』という言葉を使いたくなる理由が理解できます。
とはいえ、これらは短期的なパフォーマンスであるため、今後のリターンを測るのに役に立つことはありませんが、一応参考までに。
eMAXIS Neoシリーズを買うべきか?
といった感じでeMAXIS Neoシリーズを紹介させてもらいました。
上でも書いた通り、
「どうしてもこのテーマに集中投資したい」
「でも、ファンドマネージャが銘柄を選ぶような、アクティブなファンドは嫌だ」
と考える投資家にとっては、良いファンドだと言えそうです。
しかし、最後に筆者の個人的な見解を述べさせてもらうと、eMAXIS Neoシリーズは買うべきではありません。
それは、前述した通り
- 信託報酬が高い
という理由に加え
- テーマ型投資信託への投資がうまくいく可能性は低い
という問題があります。
この『テーマ型投信はイマイチ』という事実は、各所で繰り返しのように言われていることですが、具体的には、
- 市場平均以上のリターンを手にするためには、割安な銘柄に投資する必要がある
- しかし、テーマ型投資信託は、人気のテーマを集めているので既に割高となっている可能性が高い
- それでも金融機関ががテーマ型投資信託を販売するのは、人気を集めやすく売りやすいから
- 簡単に売ることができるので、信託報酬を高く設定でき、結果としてリターンを押し下げる
といったことが考えられるからです。
つまり、厳しい言い方をすれば
「テーマ型投資信託は、無知をカモにするための商品」
というわけです。
よって、筆者は「eMAXIS Neoシリーズをおススメできない」としているわけです。
ただし、全ての人におススメできないとは言っておらず、例えば
- 既に割高となっている特定のテーマの銘柄が、今後も高いリターンを上げ続けられるであろう根拠を知っている投資家
であれば、eMAXIS Neoシリーズを活用してもよいでしょう。
ポイントとしては、その根拠が
- 世の中に知れわたっていない情報
- 世の誰もが想像もつかない予想
である必要がありますので、生半可な根拠ではいけません。
このような根拠を手に入れられる個人投資家が世の中にどれほどいるのか分かりませんが、もしいるのであればeMAXIS Neoシリーズは良い商品だと言えるでしょう。
しかし、このような根拠を見つけられない個人投資家は、おとなしく『テーマものでないインデックス投資』を活用するべきでしょう。
出典
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