更新日:2021/4/27
ミューチュアルファンドとは、ざっくりと言うと『アメリカで販売している投資信託』なわけですが、とうぜん日本の投資信託とは違う点がいくつもありますので、分かりやすく解説していきたいと思います。
なお、『ミューチュアル』を直訳すると、『お互いに利益を分け合うこと』という意味がありますので、
- 『ミューチュアルファンド』とは、ファンドの運用側と個人投資家側と双方に利益が出るファンド
と言えます。
全てのファンドが当たり前のようにそうあって欲しいものですが、『ミューチュアルファンド』という名前があるということは、『そうでないファンドも有る』と言う事なのでしょうね…。
<目次>
ミューチュアルファンドとは
『多くの日本人が想像する投資信託』と『ミューチュアルファンド』は、
- 投資のプロにお金を預けて運用してもらうための商品
という点については同じですが、ミューチュアルファンドには主に2種類があり、
- 契約型:個人投資家は、運用会社と契約してお金を預ける
- 会社型:個人投資家は、運用会社の株主となる形でお金を預ける
と分かれています。
『契約型』と『会社型』
『契約型』は、日本人の想像する『いわゆる普通の投資信託』のことを指しており、
『会社型』は、JREITのような『"運用するために設立された会社"の株主となる投資』が当てはまります。
なお日本と違い、アメリカでは『会社型』のミューチュアルファンドが一般的です。
『会社型』では、個人投資家が運用会社の株主となることで、議決権を持ち
- 役員の解任などを請求できる
- 経営方針などへ意見を反映させられる
といったことが出来ます。
具体的には、個人投資家が『信託報酬の引き上げに対して、反対票を投じる』といったことも可能となります。
実際に、アメリカ最大のミューチュアルファンドであるバンガード社の創始者ジョン・ボーグル氏は、自書『航路を守れ バンガードとインデックス革命の物語』 で、
「バンガードは、創業から20年の間に200回以上報酬の引き下げをしたが、毎回株主総会を開いていた」
という、エピソードを紹介しています。
対して『契約型』では、あくまでも個人投資家と運用企業は契約しているだけの関係であるため、運用会社の行為に対する決定権は持ちません。
(意見を挙げるくらいしかできない)
アメリカでは、意見を反映させることができる『会社型』が主流、
日本では、運営会社まかせになる『契約型』が主流、ということで、お国柄が出ているような気がしますが、
日本に『会社型投資信託』が導入されたのは、1998年であることを考えると、「契約型が主流なのも致し方ない」とも言えます。
また、ミューチュアルファンドには『オープンエンド型であること』という条件があります。(少々難しくなりますが、お付き合いください)
オープンエンド型とは?
オープンエンド型とは、
『個人投資家が解約(売却)を求めたときに、ファンドの価値に基づいた金額が返されるファンド』を指します。
分かりやすくするために、ファンドではなくイチ企業の株を売買するケースに置き換えて説明すると、
- 解約する時に、その企業の保有資産と等しい価格でお金が返ってくる契約
が、オープンエンド型となります。
もう少し具体的に書くと、
『100万円の資産を持っている企業』の株を全て持っている投資家がいたとき、
「その企業の株を全て売った」場合に、投資家に100万円支払われます。
これは、『企業の価値』と『売買する時の金額』が一致しているため、オープンエンド型となります。
しかし一般的な株式投資は、「その企業の株を全て売りたい」と思ったときに、
他の投資家が「50万円でしか買う気ないよ」と言えば、売りに出した投資家には50万円しか支払われませんし、
全ての投資家が「そんな企業の株はいらない」と言えば、売買が成立すらしません。
このケースでは、『企業の価値』と『売買する時の金額』が一致しないため、クローズドエンド型となります。
よって、ETFのように『資産価値(基準価格)だけではなく、人気の有無で価格(市場価格)が決まるもの』は、オープンエンド型ではないため、ミューチュアルファンドではない、となります。
日本の投資信託のほとんどは、売却(解約)する時に『基準価格に応じた金額』が投資家に支払われるため、オープンエンド型となりますので、ミューチュアルファンドの部類に入ります。
そんなミューチュアルファンドですが、近年かなりのペースで成長を続けており、多くの企業の主要株主となっています。
ミューチュアルファンドが主要な株主となる
2018年時点のアメリカのミューチュアルファンドの運用額を、金額順に並べると
- 4.7兆ドル:ヴァンガード・グループ
- 1.7兆ドル:フィデリティ・インベストメンツ
- 1.7兆ドル:ブラックロック
- 0.7兆ドル:キャピタルグループ
と、かなりの巨額となっています。
少し古いデータですが、1979年→2000年末までの間に
- 資産総額が1000億ドル→7兆ドルにまで成長
- 口座数が100万口座→2.5億口座にまで増加
しており、ミューチュアルファンドの成長がよく分かります。
このミューチュアルファンドのお金は、とうぜん企業の株の購入に使われているため、運用額が1位となっているヴァンガード・グループは、マイクロソフトやJPモルガン・チェースの主要な法人株主となっており、
このことからも、ミューチュアルファンドの規模の大きさがよく分かります。
また、このミューチュアルファンドの拡大は、アメリカの401kプラン(確定拠出年金)の運用商品として選ばれるケースが増えていることも影響しており、これからも増加していくと予想されます。
まとめ
といった感じで、ミューチュアルファンドについてまとめさせて頂きました。
かつて、投資と言えば『個別に買う銘柄を選んで投資する』というスタイルが一般的でしたが、
- 優秀で、手数料の安いファンドが増えつつあること
- 『個別に買う銘柄を選んで投資する』ことで、インデックス以上のリターンを上げることが難しいことが周知されてきた
ことによって、ミューチュアルファンドが増えつつあります。
また日本でも、2018年に確定拠出年金に対する法改正が入り、
「デフォルト商品(指定運用方法)は、長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのもの」
となったことで、投資信託が活用されるケースが増えてきました。
ミューチュアルファンド、投資信託は、個人投資家に代わって資産を運用してくれるものです。
これらがさらに広がり、『投資するのが当たり前』となることで、人々の生活に余裕が生まれ、多くの人が豊かな人生が送れるようになることに期待したいと思います。
出典:
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