最終更新日:2021/3/12
ゴールドマン・サックスは「S&P500が年末までに4300ポイントまで上昇する」と予想しており、これは
- 現在(3月)の3800ポイントからおよそ13%上昇
- 2021年年初の3700ポイントからおよそ16%上昇
という、かなり楽観的な見方となっています。
多くの人はこの発言を聞いて、
「そんなわけなかろう。「売りたい」と考えているゴールドマン・サックスのポジショントークだろう。」
と思うかもしれませんが、もちろん根拠があっての発言かと思いますので、内容について考察していきたいと思います。
金利の急上昇に注意は必要だが…
まず、今後の株価を占ううえでもっとも気になる点として、『金利の急上昇』が挙げられますが、
- ゴールドマンサックスは「10年国債利回りが2.1%を超えない限り株式への影響は限定的」
- FRBは「景気が回復する見通しが立っているので、自然と利回りが上昇しているだけ」
と「金利上昇が懸念材料になることは(今のところ)ない」としています。
直近1年の米国10年国債の利回りは以下グラフの通り推移しており、ゴールドマンサックスの言う『2.1%』にはまだ遠いというのが現状です。
しかし、FRBは繰り返しのように「金利上昇について心配はしていない」と発言をしていながらも、国債買い入れ額を増加(=金利上昇を抑える効果)させており、本心では「これ以上の金利上昇はさけたい」と考えていそうです。
つまり、国債金利がさらに上昇していけば、FRBの回復シナリオから離れていくことを意味し、米経済にとっては良くない凶兆と言えそうです。
なお、市場では『債券の空売り(金利が上昇=債券価格が下落すると儲かる)』が増えてきており、さらなる金利の上昇を予想しているようです。
しかし、それ(さらなる金利上昇)以前に、金利上昇によってセクターローテーションが発生し、ハイテク企業のような成長株のパフォーマンスが劣後しています。
セクターローテーションによって成長株の時代が終わるか
一般的に
- 金利が上昇する
- 景気が冷え込む
- 成長株のパフォーマンスが落ちる
と考えられており、金利上昇局面では『景気に左右されづらいディフェンシブ銘柄』が比較的有利に立つことが多いです。
よって、今後は
- 今まで好調だった成長銘柄が売られる
- 今まで不調だったディフェンシブ銘柄が買われる
といった、セクターローテーションが起きていくと考えられます。
例として、
- 成長銘柄:米ハイテク大手:QQQ
- ディフェンシブ銘柄:米高配当株:VYM
をサンプルとして金利が大きく上昇した2月以降の基準価格の推移を見ると、以下グラフの通りとなっており
- ディフェンシブ銘柄(VYM)のパフォーマンスが、成長銘柄(QQQ)より15%も高い
という状況にあります。
この傾向が今後も続く保証はありませんが、
- 現状のディフェンシブ銘柄は高パフォーマンスという事実
- 金利上昇局面では成長銘柄のパフォーマンスが落ち込みやすいという傾向
は理解しておく必要がありそうです。
さて、話を戻すと今の金利上昇局面において、ゴールドマンサックスは株価が大きく上昇することを予想しているわけですが、これはゴールドマンサックスに限った予想ではありません。
金利上昇は株価の上昇につながる
ブルームバーグの調査によると、2021年末時点のS&P500の予想中央値は4100となっており、ゴールドマンサックスの予想ほどではないものの
- 現在(3月)の3800ポイントからおよそ8%上昇
- 2021年年初の3700ポイントからおよそ10%上昇
と、かなりの上昇を予想しています。
というのも「債券→株式へのお金の移動は始まったばかりだ」と予想しているためです。
一般的には『長期金利の上昇=株価の下落』となります(高リスクの株よりも、低リスク高利周りの債券が買われる)
しかし、『金利が上昇している真っ最中』は『投資家が債券を売りまくっている状況(債券価格の下落=金利上昇)』でもあるため、
『債券を売って手に入れたお金で、株式を購入する』という動きが起きている可能性が高いです。
そして、ゴールドマンサックスや投資家達は「今後も金利が上昇し続ける局面が続くだろう」と予想し、S&P500の株価上昇を予想していると思われます。
これは、前述した『債券の空売りが増えている(債券価格の下落を予想=金利が上昇すると予想)』ことからも広く支持されている意見だという事が分かります。
しかし、この傾向(金利上昇)が何の抵抗もなく続くとは考えづらいです。
FRBの動きに注意
こちらも前述した通り、FRBはこれ以上の金利の上昇を望ましく思っていないと思われるので、この傾向が続けば何らかの手を打ってくることが予想されます。
特に、コロナ禍において政府やFRBは、迅速でかつ巨大な経済対策を続けいるため、目指すべきシナリオに近づけるべく対応してくる可能性が高いです。
(リーマンショック時の対応の遅さを反省して、ですかね…)
そのタイミングを見極めることは容易ではありませんが、いつ、どんな対策が実施されてもいいように、心構えだけはしておく必要がありそうです。
そうすることで、急な株価の値動きがあったとしても『ひたすら積立投資し続ける=ろうばい売りをしない』ことが可能となります。
そして、『何があってもひたすら積立投資し続ける』という選択が、個人投資家が容易に高パフォーマンスを得るための唯一の手段だと、筆者は考えています。
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