最終更新日:2021/1/14
イギリスの金融規制当局である金融行動監視機構(FCA)は、最近の仮想通貨ブームを受けて、11日の声明で
「仮想通貨へ投資する人々は、すべての投資資産を失う覚悟を持つべき」
と警告しました。
その理由として、
- ボラティリティ(値動きの幅)が大きいこと
- 仮想通貨商品が複雑であること
- 消費者保護の規制が不十分であること
などを挙げています。
というのも、直近の半年間で急激に値をあげている仮想通貨は、「デジタルゴールド」とも呼ばれ、金(ゴールド)の代替品として扱われることもありますが、仮想通貨は金(ゴールド)と違って実体がないため、価値を計ることが困難です。
ウォーレン・バフェットも「仮想通貨には裏付けとなる価値がない」と考えているうちの一人で、仮想通貨へ投資している投資家に対して
「あなたは仮想通貨へ投資する理由の裏付けを説明することができますか」
といった趣旨の言葉を投げかけており、仮想通貨の価値に対する疑問を呈しています。
また仮想通貨を株式と比較すると、仮想通貨は
- 収益を生まない
- 配当を生まない
ということで、仮想通貨への投資がむくわれるかどうかは『仮想通貨の人気が出るかどうか』だけで決まるため、仮想通貨への投資は『ギャンブル』に近い性質を持っているといえ、ここ数か月の急激な価格上昇は、まさに『バブルが発生している』と言いたくなる状況にあります。
参考記事:仮想通貨の今後とチューリップバブル
なかには
「今後、仮想通貨が本物の通貨として使われることになるので、仮想通貨にの価値は上がっていくはず」
と考えている投資家もいるかもしれませんが、そう上手くいくかどうかには疑問が残ります。
”既存”の仮想通貨は通貨となれるのか?
”通貨”とは『法律で認められた、取引で使用する貨幣』であることを考えると、ビットコインに代表されるほとんどの仮想通貨は、”通貨”ではありません。
また、既存の”通貨”は『国が保証している』ことから皆が安心して使えているわけですが、仮想通貨にはその”保証”が付いていません。
『仮想通貨はセキュリティ面でも優れている』とうたいながら、仮想通貨が大量に盗難される事件は後を絶ちませんし、これほどまでに価格が安定しないものが、通貨として安心して使われるとは思えません。
とはいえ、『仮想通貨』そのものにはメリットも多く存在しており、
- 現金使用によるコストの削減
- 決済時手数料が少ない
- 偽札に出会うリスクが少ない
- 直接的な盗難にあうリスクが少ない
- 匿名性の高さ
といった面からも、仮想通貨が『取引で使われるスタンダードな通貨』となっていく可能性は高いと考えられます。
参考記事:仮想通貨に明るい兆し【コロナ対策・新興国需要で資金が集中】
しかし、その『スタンダードとなる仮想通貨』がビットコインなどの既存の仮想通貨であるとは限りません。
各国が仮想通貨を検討している
というのも、政府のあずかり知らぬ仮想通貨での取引が当たり前となってしまうと、税金の徴収が難しくなってしまうと事態も考えられるため、政府としては『コントロールできる通貨が必要』と考えるのが当然です。
実際に中国では、中央銀行(中国人民銀行)が発行する『デジタル人民元』の運用が2021年にも開始する見込みで、『仮想通貨』と『中央銀行の発行する通貨』のいいとこどりを狙っています。
(『中央銀行が管理する通貨』であるのには、デメリットもありますが…)
またG20も、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、国際決済銀行と協力して中央銀行デジタル通貨(CBDC)についてのルール検討に入っており、近い将来に『各国お墨付きのデジタル通貨』が流通していくと考えられます。
とはいえ、デジタル人民元やCBCDは、既存の仮想通貨とは違い、
- 管理当局が存在している
- 取り引きした個人情報が記録される(暗号資産ではない)
といった問題(と表現していいか難しいですが)を抱えているため、完全なる代替品とはなりません。
が、だからこそ通貨をコントロールしたい各国が
「CBCD以外の仮想通貨を”通貨”として使用することを禁ずる!」
といった宣言をする恐れがあります。
もし、そのような事態が起きれば、仮想通貨の価値はダダ下がりとなり、冒頭の金融行動監視機構(FCA)の警告の通り
- 仮想通貨の資産がゼロになる
可能性すら見えてきます。
実際に、2021年に入ってからのビットコインの推移から「ついに暴落じゃ!」という意見を耳にするようになってきました。
仮想通貨の暴落はいつ?
直近6か月のビットコインの推移は以下の通りとなっており、暴騰の後に急落しています。
提供: Bloomberg
これを見ると確かに「そろそろ暴落するんじゃないの?」と考えたくなりますが、暴落するかどうかは分かりません。
というのも、前述の通り実態のない仮想通貨は『人気があるか、ないか』だけで価格が決まるため、『今以上に人気がでるか』を予想する必要がありますが、そんな予想はできません。
これが株式であれば『今の株価は、その企業が将来もたらす利益に対して適正値か?』といった評価を下すことが可能ですが、『利益をもらたらさず、価値が不明な仮想通貨』に対して、『今の価格は適正か?』という評価を下すことはできません。
よって『暴落する時期を読むことは無理』となるわけです。
というわけで、改めて書きますが、仮想通貨への投資とは『価値が不明なものに投資する』ことである、と忘れれないようにし、
仮想通貨へ投資するのであれば、『仮想通貨へのすべての投資資産を失う覚悟』を持つ必要があります。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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