最終更新日:2020/10/12
インデックス投資では『合理的でない投資』もすることになります。
なかでも、全世界株式のインデックス投資は、『非合理的市場』ともいえる新興国市場にも投資するため、『インデックス投資が有利』とは一概には言い切れません。
というわけで、本記事では『全世界株式インデックス投資は効率的なのか?』について考察していきたいと思います。
<目次>
効率的市場で実力を発揮するインデックス投資
一般的に『インデックス投資』というと、『広く分散された企業に投資する』ため、
- 成長が著しく、株価が順調に上がっている企業
- 業績が停滞し、株価が下がり続けている企業
にも、一律に投資するパターンが多いです。
そこだけ聞くと「何て非効率な投資方法なんだ」と思うかもしれませんが、そうではないのがインデックス投資の面白いところです。
というのも市場にある株価は、すでに株価に影響する情報を織り込み済みであるため、
- 成長が著しい企業 → 割高な株価
- 成長していない企業 → 割安な株価
となっているわけなので、『成長が著しい企業ばかりに投資する』とは『割高な株ばかり買う』ことになり、大きなリターンが期待できないためです。
※詳しくは【要約】株式投資 長期投資で成功する為の完全ガイドなどをご参照ください。
それはすなわち、『優良企業(高成長)』か『不良企業(低成長)』であるかは、将来のリターンを左右する理由にはならない、ということになります。
つまり『企業ごとの将来の株価を予想することは簡単ではない』と言え、インデックス投資では、全ての企業に投資することで『平均的なリターン』を得て、『多くの手数料を支払うアクティブ投資』を超えられる(可能性が高い)ことが分かっています。
ただし、これは先進国市場にのみ言えることかもしれません。
なぜなら上記は、『市場が効率的であること』が前提であるためです。
非効率な市場ではアクティブ投資が有利
『インデックス投資』は、
- 全ての投資家に、株価に影響する情報が”平等”に公開されている
- 全ての企業の株価が適正価格になっている
- 将来の株価を読むことができない
ことを前提として、広域に分散投資をすることで、比較的有利なリターンを得ることができます。
つまり、言い方を変えると、
- 全ての投資家に、株価に影響する情報が”平等”に公開されていない
- 全ての企業の株価が適正価格になっていない
- 将来の株価を読むことができる
のであれば、インデックス投資の有用性が失われるわけです。
「そんな市場あるの?」思うかもしれませんが、あります。
それが新興国市場です。
例えば中国市場を想像してみると、「全ての投資家に”平等”に情報公開されているか?」と言う疑問には「YES」とは簡単には言えません。
それは中国に限らず、企業・政治が安定していない新興国の多くに対して言えることです。
実際に以下記事でも書いた通り、中国市場(CSI300)では、アクティブ投資がインデックスを大きく上回っています。
参考記事:中国でも投資信託に人気が集中【非効率な市場ではアクティブ投資が有利】
この実績からも分かる通り、『新興国(非効率な市場)ではインデックス投資は不利』と言えそうです。
そうなると心配になるのは、新興国へも投資している『全世界株式インデックス投資は非効率なのか?』についてです。
全世界株式のインデックス投資は非効率?
ここまでの話をまとめると、全世界株式インデックス投資は『非効率』と言いたくなります。
インデックス投資が有効だと言えるのは、『効率的な市場』と言える先進国株式に限定されると言えるからです。
よって、『全世界の株式に分散投資したい』のであれば、
- 先進国株式インデックスファンド + 新興国株式アクティブファンド
の組み合わせがベストと言えるかもしれません。
が、筆者(ひょしおんぬ)は全世界株式インデックスファンドへの投資もメインの投資先の一つとしています。
その理由は
- 優秀なアクティブファンドを選ぶことが困難
- 新興国市場の成熟と共にインデックス有利となる時代がくる
- 全世界株式インデックスでも新興国株式の組み入れ比率は10%程度しかない
といった感じになります。
優秀なアクティブファンドを選ぶことが困難
『新興国市場ではアクティブファンド有利』とはいえ、優秀なアクティブファンドを選ぶのは、個別株投資で優秀な銘柄を選ぶことと同様に困難です。
インデックス投資家は『優秀な銘柄を選ぶことを諦めた』はずなのに、『優秀なアクティブファンドを見つけて投資しよう』という考えは矛盾しています。
新興国市場の成熟と共にインデックス有利となる時代がくる
たとえ今は『新興国ではアクティブ投資が有利』であったとしても市場の成熟と共に『新興国でもインデックス投資が有利』となる時代は必ず来ます。
「じゃー、その時代が来てから乗り換えたら?」と思うかもしれませんが、そのタイミングを読むことは困難です。
インデックス投資家(の中でもドルコスト平均法で投資している人)は、『タイミングを計った投資』が難しいことを理解しているはずなので、『時代が移り変わったら、投資先を切り替える』という考えは矛盾しています。
その『市場が効率的になるタイミング』は読めませんが、筆者(ひょしおんぬ)は「あと60年は投資を続ける予定なので、それまでには成熟するでしょ」と気楽に考えています。
その『気軽に考えられる』理由が以下です。
新興国株式の組み入れ比率は10%程度しかない
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の場合、新興国市場への投資比率は10%程度の過ぎません。
よって「まぁ、少しは非効率でもいいかw」と軽く考えているのも正直言ってあります。
まとめ:全世界株式インデックス投資は非効率だけど効率的
ここまで記事にさせてもらった通り、全世界株式のインデックス投資は、投資先に『非効率市場=新興国』を含んでいるため、少し非効率な投資法と言えそうです。
しかし、全世界の株式に効率的に投資するためには、
- 優秀な銘柄をえらぶ力
- 時代の切り替わりをよむ力
が必要となり、その力を得るのは簡単ではありません。
よって「ごちゃごちゃ考えずに全世界株式インデックス一本でいこう!」という判断は、『合理的』と言えそうです。
なお、筆者(ひょしおんぬ)は、ごちゃごちゃ考えた結果、
- 全世界株式のインデックス投資
- 先進国株式のインデックス投資
の2本がメインの投資先となりました。
が、けっして『これが正解!」とは言える内容ではなく、『ただの好み』ですが。
結局のところ、未来を予想することが困難である以上、『最も効率的な投資方法』を選ぶことはできない。
選ぶことができない以上、全てに投資してくのが合理的。
という結論になりそうです。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
------------
ツイッターでは記事の公開を通知したり、投資に関係する記事を取り上げたりしています。よろしければフォローをお願いします!
本記事が少しでも良かったと思って頂けたら、以下バナーを1日1回クリック頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!
関連記事