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【グロ3】グローバル3倍3分法ファンドについて考察【アメリカ株・全世界株と比較】

最終更新日:2020/6/1

 

 グローバル3倍3分法ファンドは今のところ超優秀な成績を収めています。

 

一時期結構話題となった「グローバル3倍3分法ファンド」通称「グロ3」の設定から1年半が経過しました。

その間、世界の株価が「順調に推移した期間」「新型コロナウィルスによる暴落&回復」など、ちょっとしたイベントを乗り越えてきたので、実績値を参照しながら考察してみようと思います。

 

<目次>

 

【グロ3】グローバル3倍3分法ファンドについて考察

【グロ3】グローバル3倍3分法ファンドについて考察

グロ3ですが、正直に言って好みではありません

 

その理由は、

  • 投資の内容が不明瞭(分かりづらい)
  • 信託報酬が高め
  • 流行りもの
  • レバレッジをかけている
  • 投資先の日本比率が高い

などなどで、多くのインデックス投資家にも理解頂けるかと思います。

 

が、安定して好成績を収めている以上、”仕方なく”ブログで取り上げることにしました。

 

ぐぬぬぬぬぬ…。

 

グロ3:グローバル3倍3分法ファンドとは

 「グロ3」とは、

  • 世界中の株式・債権・REIT(不動産)を投資対象とする
  • 3倍のレバレッジをかけて投資する

が、特徴のファンドです。

 

レバレッジをかけた後の投資比率は

  • 株式:  60%(20%×3倍)
  • REIT:  40%(13.3%×3倍)
  • 債券:200%(66.7%×3倍)

 と、「レバレッジはかけているけど債券比率が高いからリスクは低いよ」と言っているようです。

投資先は日本・先進国・新興国などに適当に分散されており、詳細は以下画像の通りで、それぞれの資産はインデックス投資で運用しています(基本的には)

グロ3の投資比率

(グロ3の販売用資料より)

 

グロ3の目に見えるデメリットの一つは

  • 信託報酬が0.44%と高い

ことで、これは人気のある低コスト投資信託(e-MAXISシリーズなど)の2倍~4倍程度の信託報酬なので、「結構高い」と言わざるを得ません。

 

と、特徴の説明をしてきましたが「で、けっきょく儲かってんの?」が一番のポイントだと思いますので、実績を確認していきます。

 

グロ3の実績を楽天VTI・楽天VTと比較

というわけで、実績を比較していきます。

 

比較対象の投資信託は、人気のある以下2つの投資信託です。

  • アメリカ株全体(楽天VTI)
  • 全世界株(楽天VT)

 

比較する期間は、

  • 全ての期間(2018年10月~)

と、全世界株の株価の推移が

  • 横ばいだった時期
  • 好調だった時期
  • 暴落した時期

の4パターンで比較します。

 

ではまずは、全ての期間での実績を確認します。

 

グロ3販売後の全期間の推移を確認

2020年10月初を100ポイントで統一すると、以下グラフのような実績になります。

グロ3公開後の全期間の推移を確認

※赤い点線の丸は、今後ピックアップしていく箇所です。

 

結果は

  • 114%:グロ3
  •   99%:楽天VT(全米)
  •   92%:楽天VTI(全世界) 

となりました。

うーむ、強い…。

 

「2018年末頃の暴落」や「新型コロナウィルスによる暴落」を得ても、楽天VT・楽天VTIよりも好成績となりました。

 

とはいえ、「レバレッジファンドは横ばいや暴落時に弱い」という特徴が一般的であることから、その期間だけを切り取って確認していきます。

 

まずは、「横ばい期(最初の赤丸部)」を確認していきます。

 

グロ3の横ばい期の推移を確認

比較する期間は2019年3月~2019年10月とします。

グロ3の横ばい期の推移を確認

結果は、

  • 119%:グロ3
  • 106%:楽天VT(全米)
  • 105%:楽天VTI(全世界) 

となりました。

な、なかなかやるじゃないか…。

 

「全期間でダントツの成績」とは言えませんが、楽天VT・楽天VTIが下げている時にも持ちこたえていました。

 

債券比率の高さによって「株価の下落に対する高い耐性」を持っていることがよく分かります。

 

とはいえ、「債券比率が高い」ということは、「ローリスク・ローリターン」であることが一般的であるため「好調期には大した成績を得られない」ということになるはずです。

 

よって、「全期間グラフの2つ目の赤丸部:好調な時期」にフォーカスを当てて比較していきます。

 

グロ3の好調期の推移を確認

対象の期間は2019年11月~2019年2月(の暴落直前)までとします。

グロ3の好調期の推移を確認

結果は、

  • 107%:グロ3
  • 114%:楽天VT(全米)
  • 111%:楽天VTI(全世界) 

となりました。

弱いところ見つけてやったぜ!!

 

4か月弱という短期間の実績ではありますが、株価が好調に推移している時期には「グロ3の伸びはいまいち」という結果になりました。

 

債券比率が高いため、株価が上昇してもそれに付いていくことが出来ず、少しずつ楽天VT・楽天VTIに後れを取っていきます。

 

とはいえ「上昇しない」というわけではなく、「ゆっくりと上昇してく」という結果になりました。

 

さて、続いて本題ともいえる「暴落時の動き(新型コロナウィルスによる暴落)」について確認していきます。

「レバレッジファンド=暴落で悲惨なめに合う」というイメージ通りの値動きとなっているのか楽しみです。

 

グロ3の暴落時の推移を確認

対象の期間は、2020年2月の暴落直前~とします。 

グロ3の暴落時の推移を確認

結果は、

  • 84%:グロ3
  • 87%:楽天VT(全米)
  • 85%:楽天VTI(全世界) 

となりました。

最下位ではありますが、結果としては「楽天VT・楽天VTIとほぼ変わらない」と言えそうです。

 

「債券比率が高いから株価の暴落に強いぜ!」というわけではありませんでした。

というのもある意味当然で、最近では「株価暴落時に債券も大きく値を下げる」ケースが多くなっているためです。

(昔はそんなことなかったようは気はするんですけどね…)

 

とはいえ、3倍のレバレッジをかけているのにも関わらず、暴落時のこの成績は優秀です。

とはいえ「新型コロナウィルスによる暴落時」だけを切り取ったものであるため、今後も同様の値動きをするかどうかは不明です。

 

グロ3への投資で最も懸念すること

グロ3は「債券比率が200%」とかなり高いため、債券が値下がりするようの事態が起きれば、グロ3にとっての試練となりそうです。

 

「債券が値下がりする」ケースの代表例は

  • 国債利回り(金利)の上昇

です。

 

2020年5月時点では、新型コロナウィルス対策のため「かなりの低金利」となっています。

よって、さらに金利が下がることは考えづらく、これからは「経済回復に合わせて金利が上昇する」フェーズであると予想されます。

 

また、各国がリーマンショック時を超える規模の経済対策(お金を市場に放出している)を打ち出しており、今後はインフレが加速する可能性があります。

 

インフレが加速すれば、中央銀行は金利を上げ、債券の価格は下落することになり、グロ3の成績は悪化します。

 

とはいえ、しょせん「債券で200%のレバレッジ」なので、上記の「債券価格の下落」が起きたとしても、株価の暴落のように、20%も30%も下落するような事態にはなる可能性は非常に低いです。

 

まとめ:グロ3は比較的優秀なファンドと言えそう

ここまで記事にさせてもらった通り、グロ3は株価が

  • 横ばい期:強い
  • 好調期 :弱い
  • 暴落時 :普通(ちょい弱)

ファンドとなりました。

 

よって、「好調期」と「暴落期」が激しく繰り返されるようなことがあれば、グロ3にとって厳しい時代となるかもしれません。

(どんなレバレッジファンドにも言えますが)

 

とはいえ、たった1年半の実績なので、今後も同様の結果となる保証はいっさいありません。

 

なお、グロ3の販売用資料に以下シミュレーション結果が掲載されています。

グロ3の販売用資料に以下シミュレーション結果

このグラフからは

  • 長期的には、かなり好成績だぜ!
  • リーマンショック時にもダメージは少なかったぜ!

 

 と言っていますが、広告用資料はとうぜん「都合のいい情報だけを出す」ものなので、「すげー儲かる!」とストレートに信じないようにしましょう。

 

実際に「リーマンショック時のダメージは少なかった」ようですが、本記事で検証した通り「新型コロナウィルスによる暴落によるダメージは結構あった」わけなので、「どんな暴落にも強いよ!」というわけではありません。

 

とはいえ、2003年~シミュレーション結果は魅力的だし、2018年10月~実績でも結構な好成績を残しているのは事実です。

 

よって、今後も定期的にウォッチを続けていき、本ブログで報告していきたいと思います。

 

バフェットも「リスクは、自分が何をやっているかよく分からない時に起こる」と言っている通り、グロ3の全貌がつかめるまでは「見定め」を継続していきます。

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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